ブルガリアの妖精と餅つき 五輪キャンプ、各地で始動

 2020年の東京五輪・パラリンピック開催まであと2年となり、海外の代表チームなどの事前合宿(キャンプ)が日本各地で早くも始まっている。地域住民には世界トップクラスのアスリートの技や力を身近な場所で体験し、直接交流できる貴重な機会となる。得られた絆が五輪後もレガシー(遺産)となり、自治体による国際交流の深化につながるかもしれない。

■「足が長くてモデルさんみたい」

 6月下旬、サクランボの収穫のピークを迎えた山形県村山市で、若い外国人女性の一団が市内各地で大歓迎を受けた。五輪のホストタウン事業として招いた、ブルガリアの新体操代表チームだ。

 「美人で足が長くてモデルさんみたい」「アリガトウと日本語で答えてくれた」――。大久保地区の歓迎会で出迎えた地元の小学6年生、細矢芹歌さんらは大興奮。10代の若い選手が多いこともあり、一緒に折り紙を作るなど交流を楽しんだ。

ブルガリアの新体操選手は山形県村山市の園児たちとバラの植樹もした

 同市では17年6月、全国の先陣を切りブルガリアチームの事前合宿が開かれた。2回目となる今回は6月中旬から2週間、選手やコーチら26人が参加。練習の合間を縫って選手が小中学校を訪問したり、記念植樹や交流会に参加したりして市民とふれあった。

 17年は市がお膳立てしたが、今回の大久保地区は地元の自主企画だった。協議会会長の細矢清隆さんは「1年前から何回も会議を開き、どうすれば喜んでもらえるか考えてきた」と話す。餅つきや折り紙体験のほか、サクランボなどご当地グルメでもてなした。参加したラウラ・トラエツ選手も「餅はおいしかった。子どもたちと会えて癒やされました」と笑顔を見せた。

 なぜ、村山市がブルガリアなのか。市内には約7ヘクタールの園地に2万株近いバラを植えた「東沢バラ公園」がある。ローズオイルで有名なブルガリアとはバラつながりで共通点があるとしている。「当たって砕けろ、と職員を派遣したら誘致に成功した」(志布隆夫市長)という。

 16年のリオ五輪で銅メダルを獲得した同国の新体操チームは20年大会でも活躍が期待できる。華やかな強豪チームの誘致に、志布市長は「外国人が珍しい地域にトップアスリートが来て、世界をお互いに知ることができる」と喜ぶ。合宿期間中は市民体育館で公開演技会も開かれた。

■戦後入植者の縁でパラオ誘致

 宮城県蔵王町では6月中旬、パラオのアーチェリーチームが合宿で滞在した。同国にはアーチェリー専門のコーチがいないため、仙台市在住の国体出場経験者をコーチに迎え、技術を磨いた。町の担当者は「選手はコーチをパラオに連れて帰りたいと言っていた」と話す。

 戦後にパラオから入植者を受け入れた歴史があり、同町には「北原尾(きたはらお)」という地名が残るなど関係がある。選手の滞在に合わせ、児童向けの体験会も実施。大半の児童はアーチェリーを初めて手にしたが、選手のアドバイスを受け矢を的に当てた。

 ハンガリーのダンスチームが訪れたのは宇都宮市。ダンスは五輪種目ではないが、5月に川崎市で開かれた世界選手権に出場するため来日した機会をとらえ、五輪のホストタウンの協定を結ぶ栃木県に立ち寄った。交流イベントで訪れた市立城東小学校では、選手がブレークダンスを披露。城東小の小学生も同校伝統の「よっちょれ」を踊り、応援団がエールを送るなど選手と交流した。


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