一番下のボタンは外せ 意外と知らない上着のマナー

実は、私は長くこのスタイルはイタリア発祥だと思っていたのですが、スーツの歴史に詳しい方に聞くと、もともとは米国生まれのスタイルだそうです。

アイビーリーグ(東海岸にある名門私立大学の総称)の選手の中に発達した胸筋のためにジャケットの一番上のボタンを留められない人が多く、いつしかそれがかっこいいということで「着こなしスタイル」として広まったとか。

■アメリカからイタリアへ

それを商品化したのは、ボタンダウンシャツの元祖とされる有名な老舗メーカーらしいですね。そこからイタリアに渡り、ジャケットスタイルとして愛されるようになった、ということです。

というわけで、段返りの場合は一番上のボタンはもともと留めないのが流儀。そして一番下も留めません。ゆえに真ん中のボタンだけ留める、ということになります。

◇   ◇   ◇

いかがでしょうか。シングルジャケットのルールはお分かりいただけましたでしょうか? 女性の私から見ると、アンボタンルールのようにダンディであるための暗黙のルールがあることがうらやましく思えます。どちらかというとモードに合わせて変遷してきた女性のスタイルに比べて、芯のとおった伝統の存在を感じるからです。

このようなこまごまとしたことを「知っておきましょう」と求められることは大変だと思いますが、少しずつ意識していっていただければいいと思います。

■ダブルスタンダードに気をつけて

ただ、悩ましいのは、日本には新卒就職活動の「リクルートスタイル」なるものが存在することです。その本旨は「生意気に見えないようにする」「変におしゃれに見えないようにする」こと。そうしたリクルートスタイルの「掟」では、ジャケットのボタンは下まで留めることが「正しい」とされる場合があるようです。

社会人のスーツスタイルとは異なる、いわば「ダブルスタンダード」となりますが、独自のルールや気遣いが必要な場合は、無理に「アンボタンルール」にこだわることもないでしょう。

まず必要なのは、ダンディであるためのルールや、伝統に培われた本来のスタイルをまずは知り、心に留めておくこと。そのうえで、スーツを装う目的とTPO(時、場所、場合)に応じて、ご自身を表現してはいかがでしょう。

丸山ゆ利絵
ホテル西洋銀座やアークヒルズクラブなどを経て2010年、経営者などに「ふさわしい存在感」の演出方法を助言するコンサルティング会社、アテインメンツ(大阪市)を設立、代表に就任。15年、ビジネスマンに正しいスーツの着方を指南する「スーツ塾」を開講。 著書に「『一流の存在感』がある人の振る舞いのルール」(日本実業出版社)など。

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