だれでもITで「超人」に ドローンとつなげば鳥の目

人間とIT(情報技術)やロボットを組み合わせて、人が本来持つ能力を飛躍的に高める「人間拡張」という新技術が登場した。産業技術総合研究所は研究拠点を新設し、東京大学は他人の経験を追体験する技術を開発。米マサチューセッツ工科大学(MIT)も研究を始めた。人工知能(AI)が人の能力を上回る脅威論が広がるなか、人間自らも先端技術を活用して能力を高める手段になる。将来は並外れた身体能力や知能を持つ「超人」が誕生する可能性もある。

VRに自分の身体モデルを映し出し、実際より大きく動かすことで運動強度を高める(産総研・持丸研究センター長提供)

産総研は2018年11月、東京大学・柏2キャンパス(千葉県柏市)に「人間拡張研究センター」を立ち上げた。センサーやロボット工学、認知科学、サービス工学などの研究者34人が所属。ネットワークを介し人とITやロボットを結び、人間の能力を高めて高度な運動や作業を可能にする。仕事だけでなく医療や健康分野の実用化を狙う。

持丸正明研究センター長らが進めるのは「運動強度」を高める研究だ。パワーアシストスーツと仮想現実(VR)を組み合わせて運動を繰り返す。画面に映る身体モデルを見ながら体を動かすと運動能力が高まる。ラットやサルによる簡単な実験で効果を確認。人間でも有効性を調べる。

スーツの手助けで人間単独より運動効果を向上。さらに継続的に使って運動をつかさどる遺伝子を発現し人間自身の能力も高める。持丸研究センター長は「人間拡張で人間自身の能力の維持・増進を目指す。新しい産業基盤として社会に浸透させていきたい」と話す。

東大の暦本純一教授は人と人、人と機械をインターネットを介してつなぐ技術の研究を進める。ヘッドマウントディスプレーに他人がカメラで撮影した映像やドローンの映像を表示、その場にいるような体験を得る。他人の行動の追体験を通じて、本人の身体能力を高める。ドローンとリアルタイムでつながれば、鳥の目を獲得できる。


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