大学の禁煙は「西高東低」 喫煙者は教員採用で除外も

改正健康増進法で7月から原則禁煙になる大学キャンパスの禁煙化が進んでいる。関東では喫煙所を1カ所に限る対応が多い。一方、関西や九州の大学は入学前に禁煙誓約書を書かせたり、敷地外でも禁煙を求めたりと、より徹底している。喫煙者を教員採用しないなど、キャンパスから紫煙を完全排除する大学も現れた。

「喫煙所のそばを通らないようにしているのでありがたい」。青山学院大3年の女子学生(20)が歓迎する。同大学は2019年度中に青山キャンパス(東京・渋谷)の喫煙所2カ所のうち1カ所を撤去する。

学校内の禁煙を義務付ける改正健康増進法は「人が通らない場所」などの条件下で例外を適用できる。同大学は「いきなり全面禁煙にすると隠れ喫煙などが必ず起こる」(担当者)と考え、1カ所を残した。

嫌煙家の男子学生(19)は「喫煙者が集中して煙が大量に漏れる。喫煙所に壁を作ったり喫煙者がマナーを徹底したりすることから始めてほしい」と注文を付けた。

上智大も喫煙所を1カ所残す。キャンパスのある東京都千代田区は路上禁煙地区で、担当職員は「路上喫煙で近隣に迷惑を掛けるくらいなら学内に吸える場を設けた方が良い」と苦渋の決断の背景を明かす。中央大も多摩キャンパス(東京都八王子市)の喫煙所を13カ所すべて閉鎖する計画だったが、周辺で路上喫煙や吸い殻のポイ捨てが増え2カ所を残した。

一方、関西では徹底した姿勢をとる大学が多い。追手門学院大は19年春の入学者約1800人に入学前、大阪府茨木市のキャンパスや周辺で喫煙しないとする誓約書を出させた。違反があれば停学などの処分を課す場合もあるという。

同大学は20年4月までに完全禁煙化する方針で、担当者は「教育の一環として喫煙習慣のない学生を社会に送り出す責務がある」という。

佐賀大は4月から敷地内に加え、敷地内に駐車中の車内や敷地外でも周辺住民への迷惑となる場合の喫煙を禁止した。駐輪場などに屋外喫煙所があると18年末に総務省から指摘され、敷地内の喫煙所をすべて撤去。さらに敷地外の禁煙まで踏み込んだ。職員らが月1回、違反がないかパトロールする。

喫煙者の採用を手控える大学も。長崎大は19年度の採用試験から、喫煙者を採用しない方針を募集要項に明記した。大分大も3月、非喫煙者の優先採用などを盛り込んだ選考方針を整備し、採用面接時などに喫煙習慣の有無を確認している。

両大学ともキャンパスの全面禁煙を進めるほか、すでに在職中の喫煙者向けに無料の禁煙外来などを整備。「学生や教職員の健康を守るため徹底し、教職員には学生のロールモデルになってもらう」(長崎大)という。

家田重晴・中京大教授(学校保健学)の調査によると、4月末時点で全国の4年制大学の少なくとも206校(約26%)がキャンパス敷地内を全面禁煙とした。3年前の約1.4倍に増えた。家田教授は「法改正をにらんで1年ほど前から敷地内禁煙の動きが活発になってきた」と話している。

[日本経済新聞夕刊2019年5月31日付]


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