個別指導塾のパイオニア的存在とされる東京個別指導学院の齋藤勝己社長のファッション哲学は「装いはホスピタリティー(もてなし)」だ。齋藤社長は教育業界に転じる前、クラシックホテルの代名詞的存在の富士屋ホテルに勤めていた。そこで身につけた精神が丁寧なスーツの着こなしを裏打ちしている。「身だしなみで敬意を表したい」という齋藤社長のおしゃれ流儀を聞いた。

■スーツは半分以上が紺、生地の質感を使い分け

――スーツはどのようなタイプを好んで着ていますか。

「持っているスーツの大半は『エルメネジルド ゼニア』の生地で仕立ててもらっています。きょうはゼニアの『エレクタ』という生地で仕立てたスーツを選びました。1929年に発表されてから、90年もリニューアルされていないクラシックな生地です。ゼニアの生地は自然と体になじむ感じがあって、気に入っています。少しやわらかい風合いの生地がしっくりくるので、ゼニア以外では『ロロ・ピアーナ』も好みです」

スーツが主張しすぎないバランス感を大切にしているという

「人に会う機会が多いので、どうしても仕事中はほとんどスーツになります。フィット感を大事にしたいから、仕立て職人の方に来てもらって、採寸をお願いしています。腕時計の収まりがよいよう、シャツの袖周りは1センチほど太くしてもらっています」

――その日に着るスーツは、どのように選んでいるのでしょう。

「着ていく場面に合わせて、生地の質感を使い分けています。ポイントは光沢感です。目が詰まった生地は、光を受けて照り映えるので、ステージ上で講演するような場合に着るようにしています。静かなつやめきを帯びた生地は、スーツに仕立てると、輪郭が光を受けて浮かび上がるような見え具合になるのです」

「色は紺が多いです。チャコールグレーやピンストライプもワードローブにはありますが、半分以上は紺。シックでスタンダードな色は、誠実な態度を示すうえでふさわしいと思います。ベントはセンター、ボタンは2個。あまり装飾性を高めないで、むしろ生地の上質感を引き出すようなスーツに仕立ててもらっています」

「スーツは10着ぐらいを軸に、場面に応じて使い分けています。主な用途としては登壇用と出張用があります。関西や福岡にも教室があり、出張が多い日々です。頻繁に各地の教室を回っています。スーツで新幹線に乗って、つい眠り込んでしまうと、しわが付いたり、生地が傷んだりしがち。だから、出張の日はゼニアのその名も『トラベラー』という、旅行にも向く丈夫な生地を選んでいます。名前の通り、スーツケースに畳んでしまっておいても、しわになりにくい生地です」

靴ひもをキュッときつめに結ぶのは、父親の所作を見習った

「毎日ほとんど1万歩は歩いています。だから、靴は足なじみが最優先。今はイタリアの『サントーニ』やスペインの『カルミナ』などを履いています。型(ラスト)が足に合うようです。かかとの入りがよくて、歩きやすい点が気に入っています」