「いつも見守りありがとう」34年、身近な警察官一筋の巡査部長

「いつも見守りありがとう」34年、身近な警察官一筋の巡査部長

 1983年4月に長崎県警に入って以来34年、ずっと地域警察官として過ごしている。稲佐署小江原交番の巡査部長、池田和夫さん(56)。警察署勤務がなく、交番や駐在所のみの経歴は珍しい。「住民にとって身近な警察官でいたいから、交番勤務の希望を出し続けている」と胸を張る。

 「おはよう。きょうも寒いね。気をつけていってらっしゃい」。冷え込んだ朝、長崎市の小江原交番前の交差点で小学生に声を掛ける。勤務の日は天気に関係なく、朝6時半ごろから交番前に立ち、通学する児童や生徒を見守る。児童からは「いつも見守りありがとう」と感謝の言葉が届く。

 東京の大学に通っていたころ、自宅から駅までの道中、いつも背筋を伸ばして交番前に立ち、道案内や落とし物の届け出に対応する警察官を見て憧れた。「社会で困っている人のために働きたい」と故郷に戻った。

 昨秋以降、ある住宅で出入り口の門扉が外される「器物損壊事件」が続いた。相談者宅に防犯カメラを設置し、夜間もパトロールを強化したところ、アナグマが門扉の下に顔を入れて、器用に扉を外す映像が残されていた。住民は「これで安心して眠れる」と胸をなで下ろし、思わぬ“犯人”に笑みをこぼした。

 力を入れているのは巡回連絡だ。昨年5月、70代女性が息子を名乗る男からの電話で、50万円をだまし取られる被害に遭った。「管内から特殊詐欺被害者を出さない」と、1人暮らしの高齢者に、非通知からの電話には出ないよう設定することを呼び掛けて回る。高齢者宅では「私がやりましょうか」と、自ら機器を設定することもある。

 稲佐署での一連の活動が評価され、県警察官友の会主催の「県民の警察官」表彰を受けた。「当たり前のことをしただけで表彰されるなんて」とはにかむ。「退職まで制服を着て、地域警察官として全うしたい」。定年まで残り3年余り。初志は今もぶれていない。

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