自社や他社のブランド服などを販売する大手セレクトショップ「ビームス」(東京)が、福岡県の支援を受け、伝統工芸品「久留米絣(かすり)」を活用し開発を進めていた商品が完成した。ブランド名は「CATHRI」(カスリ)。女性向けの春夏服で、涼しげな藍染めのワンピースやチュニック、スカート、Tシャツなどを3月から販売する。県は、同社の発信力を生かした知名度アップや販路開拓を期待している。

 久留米絣は藍染めの生地にあしらった幾何学模様などが特徴の綿織物。技法は国重要無形文化財に指定されている。ビームスは綿素材で着心地が良く、普段着として愛用できる特性に着目。池田絣工房と西原織物(ともに福岡県筑後市)、森山絣工房(同県広川町)から生地を仕入れ、織元の意見も参考に開発した。商品によっては胸元や腰回り、ベルト部分に幾何学模様などが施されている。別のブランド名でバッグも開発した。価格(税抜き)は2万1千円〜5万2千円(バッグは未定)。ビームス福岡(福岡市・天神)と地場産くるめ(同県久留米市)で販売、神奈川県や大阪府の一部のビームス店舗でも取り扱う。

 商品開発は、県産の伝統工芸品の販路拡大を促す県事業の一環。ビームスは2018年に「博多織」の財布などを手掛けた実績があり、広告代理店を窓口に事業の委託先に選んだ。県観光政策課は「カジュアルさと、伝統工芸品の上質さを両立させ、洗練された商品に仕上がった。久留米絣になじみのない人たちにもアピールできると思う」としている。

 久留米絣は近年、現代風にアレンジしたもんぺが人気を呼ぶなど注目されている。県によると、県内生産額は09年は9億2200万円で、14年には8億5800万円まで減少したが、15年から増加に転じ、18年は9億7400万円だった。 (大坪拓也)