「これにて一件落着」。長崎奉行が決めぜりふを発すると、観客から大きな拍手が上がった−。江戸時代の長崎奉行所の施設が復元されている長崎歴史文化博物館(長崎市立山)で、ボランティア劇団「長崎奉行所芝居組」による寸劇の公演がこのほど通算8千回を達成した。公演開始から15年を迎え、座長を務める本山善彦さん(78)は「ここまで来ればぜひ1万回まで公演したい」とさらに意欲を見せる。

 寸劇は、同館が所蔵する長崎奉行所の裁判記録「犯科帳」(国指定重要文化財)を分かりやすく伝えようと、2005年11月の開館と同時に始まった。館内に再現された御白州などで劇団員12人が、犯科帳を基に作成したオリジナルの19演目を、土日祝日に1日4回ずつ公演している。

 8千回目となった13日の演目は、唐商人が持ち込んだ貿易品に禁教とされたキリスト教に関連する書物はないか奉行が確かめる場面を描いた「大改(おおあらため)」。せりふにだじゃれを交えたり、観客と一緒に踊ったりする場面もあり、会場からは笑いが絶えなかった。この日、観劇したニュージーランドの大学生エマ・コーワンさん(20)は「観客も巻き込んでくれたので楽しめた」と話した。

 一方、劇団の平均年齢は約71歳。本山さんも病を患い、休養を余儀なくされた時期もある。それでもやめるつもりはない。「劇を通じて、長崎の歴史や当時住んでいた市井の人たちの生きざまを伝えたい」との思いがあるからだ。1万回という大記録の達成まで「つえを突いてでも続ける」と力を込める。

 長崎奉行所芝居組は、新たな劇団員の募集も呼びかけている。問い合わせは同館=095(818)8366。 (華山哲幸)