海外で人道支援を続け、昨年12月にアフガニスタンで凶弾に倒れた医師の故中村哲さんを追悼する対談会が11日、中村さんが20代まで過ごした福岡県古賀市で開かれた。少年時代に古賀の豊かな自然の中でチョウを追い、その体験がやがて医療や緑化支援活動へつながっていったと生前語っていた中村さん。小学校の同級生と、活動を長く支援した元教諭の2人が「彼の志をつないでいくのが私たちの役目」と訴えた。

 中村さんは小学1年から20代後半まで古賀町(現古賀市)で暮らした。母校の古賀西小は海が近く、砂浜で「浜の運動会」も行われていた。

 小学校の6年間、同級生だった木下玖美子さん(73)は「哲(てっ)ちゃんが犬を拾ってきて、『玖美ちゃん、育てて』と頼んできたことがあった。常に優しい目線でものごとを見る人だった」と故人をしのんだ。少年期の中村さんに山歩きやチョウの魅力を教えた大人たちがいたことを回想しながら、「地域の大人が子どもたちにいろんな機会を与えることが大事。(中村さんという)素晴らしい先輩がいたことをどう伝えるか、それが私たちの課題です」と話した。

 西南女学院中学・高校(北九州市)元校長で、中村さんの講演会を長年開いてきた内山賢次さん(71)は、アフガニスタンに医療支援に来た先進国が次々に去って行く話を中村さんに聞いてきた。「中村さんは『あてはめようとする支援は続かない』と、現地のやり方に合わせる現地主義を貫いた。自身が持っている知識を現地スタッフに与えて育て、託していた。種をまいてきた彼の志を私たちはどう継承するか」と問題提起。「中村さんを過去の人とせず考えを受け継いでいこう。彼が親しんだ古賀の豊かな自然を大切に、市民が一緒に考える会を続けてほしい」と呼びかけた。 (今井知可子)