馬毛島の所在地

専門家「訓練移転へ強引な説明」

 米軍艦載機の訓練移転候補地として国が取得を進める鹿児島県・馬毛島(西之表市)で、元地権者による違法な伐採や造成の疑いがある問題で、政府は取得して国有地化すれば適法になるとの見解をまとめたことが11日、分かった。専門家は「訓練移転を進める強引な説明だ」と批判しており、野党も開会中の通常国会で追及する構えを見せ、紛糾も予想される。

 元地権者の開発会社、タストン・エアポート(東京)は島の99%を所有。訓練誘致を目的に、島に滑走路を造るなど独自に開発していた。政府は2019年11月、同社と約160億円で島を売買することで合意。既に島の6割以上を取得し、国有地化している。

 同社は開発を巡って地元漁業者と対立。裁定を求められた国の公害等調整委員会は16年、同社の造成について「森林法の許可申請、届け出の範囲を超える開発、伐採が推認される」と違法の疑いを指摘していた。西之表市の八板俊輔市長も今年1月に河野太郎防衛相に宛てた質問状で「国の買収は開発を不問にし、容認するものだ」と反発、政府に見解を求めていた。

 政府関係者によると、森林法は、違法開発が認定されれば、都道府県知事が原状回復を命じることができるなどと規定するが、対象は「民有林」と明記。政府はこの規定を基に、民有地から国有地に変わった時点で法規制から外れると判断したという。林野庁の担当者も「開発会社が違法に造成した疑いが残ったとしても、国はその責任を引き継がない」と説明する。

 だが、馬毛島に詳しい菅野庄一弁護士(東京)は、こうした政府の見解に「違法の疑いが強い地権者の開発行為を帳消しする論法だ」と反発する。

 訓練移転は、日米両政府が11年に合意。関係者によると、米トランプ政権は早期実現を強く要求している。島の買収を巡っては、国会審議を経ない「流用」という手法で費用を捻出し、積算根拠の公表も拒むなど、政府のなりふり構わぬ姿勢が目立っている。(湯之前八州)

【馬毛島】鹿児島県の種子島の西約12キロにある無人島。政府は、米軍空母艦載機の陸上空母離着陸訓練に関し、馬毛島に自衛隊施設を整備して恒久的に実施することを検討している。2011年6月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書に移転検討が明記。07年にも訓練移転候補地に浮上したが、地元自治体の反対で頓挫した経緯がある。