三潴図書館の「くまさんぶんこ」で本を選ぶ子ども

久留米市に計1000冊超提供

 福岡県久留米市三潴町の隈好美さん(76)が14日、生前、毎日のように三潴図書館に通い読書を楽しんでいた夫達男さんの十三回忌に合わせ、485冊の児童書など(100万円相当)を市に寄贈した。寄贈は3回目で合計千冊を超えた。三潴図書館には寄贈された本で「くまさんぶんこ」が設けられ、子どもたちに親しまれている。

 達男さんは三潴出身で、福岡市の会社を定年退職して帰郷。水泳と図書館通いが日課で、いつも貸し出し上限の10冊を借りていた。歴史小説から児童書、漫画まで幅広く読んだという。

 2006年、健康診断で肺が萎縮する間質性肺炎と診断された。入院後も図書館に行くため外出許可を取り、寝たきりになっても枕元にはいつも本を置いた。08年2月13日に66歳で亡くなった。好美さんは「読書をしている時は、闘病の不安から逃れられたのかも」と振り返る。

 達男さんの死後、好美さんは「できることはできる時に」と本の寄贈を思い立った。夫婦には子がなかったため「育児ができなかった分、夫が好きだった本で子どもたちを育むことができれば」と児童書にした。

 三回忌に528冊、七回忌に120冊を贈った。図書館の司書が子どもに人気の本を選定した。館内の「くまさんぶんこ」の本棚には、本の背表紙に熊のシールを貼った寄贈本が並ぶ。

 原章館長は「子どもたちは本が増えるとすぐに気づいて、館内に喜ぶ声が響く」と話す。

 命日の今月13日、いつものように墓参りをしたという好美さん。「夫が生きていたら『子どもに本を贈るとはいい考えだな』ときっと言うだろう。子どもたちの笑顔が夫の供養になります」とほほ笑んだ。(平峰麻由)