HKT48チームKの朝長美桜(21)が15日、福岡市・天神の西鉄ホールで開かれた劇場公演で、グループを卒業した。ラストステージを見届けようと集まったファン、別れを惜しむ仲間たちに見送られ、約7年半のアイドル人生に幕を下ろした。

 盛大な「美桜ちゃん」コールが響く劇場。最終ライブは気心知れた同期メンバーが中心のユニット「R24」の公演「博多リフレッシュ」。冒頭から歌えなくなるほど涙する盟友・田島芽瑠や渕上舞らを笑顔で励ましながら、「前しか向かねえ」で拳を突き上げた。

 2012年9月に2期生として活動をスタートさせた。翌年3月発売のデビューシングル「スキ!スキ!スキップ!」で表題曲を歌唱する「選抜」メンバー入り。2ndシングル「メロンジュース」で、田島とともに初めてWセンターに立ち、3rdシングル「桜、みんなで食べた」でも2人でセンターを務めた。13年の5月には、AKB48のシングル「さよならクロール」の選抜に抜てき。HKTの看板としてだけでなく、AKBグループ若手の有望株としても脚光を浴びた。

 公演では「泣いているファンの顔を見ていると涙が出そうになる」と言いながら、涙は見せずに歌い踊った。思い出を振り返るMCで泣いてしまった渕上とは「君と僕との関係」を2人で歌い、負傷の影響で出られない中盤のダンス曲は、ペンライトを振りながら舞台袖で見守った。

 アンコールでは、田島とともに「思い出のほとんど」をデュエット。手をつなぎ、かみしめるように盟友と向き合うと、この日初めて目を潤ませた。

 「いつだって私の道しるべになってくれてありがとう。美桜がいなかったら、ここまで来られなかった、私の走るスピードがもっと速かったら、もう一度Wセンターができたのかなって思った。それだけが私の後悔。美桜はやっぱり私の先に行くんだね。美桜と出会えたことは人生の宝物です」

 盟友が読み上げる手紙に涙が止まらず、客席に背を向けた。「1人にしてしまって申し訳ない気持ちもあるけど、頑張ってね。出会ってくれてありがとう」。つないだ手を、なかなか離すことができなかった。

 ◆桜の花びらの中で「バイバーイ!」

 「『制服の芽』公演のゲネプロで半月板を損傷し、もうステージには戻れないかもしれないと、どん底に落ちた2年前。今までで一番苦しくてつらかった。でもそんな中、皆さんは私のことを支え続けて応援してくれた。おかげでステージに戻ってこられた、本当に本当にうれしい」

 負傷で以前のようなパフォーマンスができなくなっても、変わらず声援を送り続けてきたファンに感謝を伝え、しっかりと前を向き言葉を続けた。

 「HKTには悔いはありません。やりきりました。すごく楽しくて、濃い7年だった。明日からは、今まで作り上げてきたものをゼロにして、また頑張っていきたい」

 約7年半のエピローグを紡ぐように、2期生のオリジナル曲「僕らのStand By Me」を熱唱した。

 「知らない間に近道していた。知らない間に大人になっていた」

 田島や上野遥ら年少組も成人し、気がつけばすっかり大人の女性に成長していた2期生たち。号泣しながらも時折笑顔を見せ、肩を抱き合いながら大切な曲を歌いきった。

 アイドルとして最後の曲に選んだのは「桜、みんなで食べた」。田島と肩を並べ、グループの最前線で歌った思い出深いナンバー。客席でピンクのペンライトが一斉に揺れ、美しい桜が満開を迎えた。

 「本当にありがとうございました。7年間、とてもとても幸せで、楽しい時間でした」

 美桜を慕ってやまない5期生・工藤陽香と後藤陽菜乃から、花束とメンバー手作りのアルバムを受け取り、2人を優しく抱きしめる。去りゆく花道には、仲間たちのフラワーシャワー。

 「バイバーイ!」

 桜の花びらを全身で浴びながら、とびきりの笑顔で手を振った。(古川泰裕)