マラソン・森下広一氏「最強の6人」陸連方針支持

 新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に深刻化している状況を受け、1年程度の延期が決まった東京五輪の今後の焦点は選手選考のあり方だ。陸上のマラソンは男女3人ずつ、柔道も男女14階級のうち13階級など多くの競技で代表が決まっている。選考法は各競技団体に任されているが、白紙となれば大きな混乱となることは間違いない。過去の五輪代表選手は選考についてどう考えているのか。1年延期した場合の選手たちの影響とともに聞いた。

 マラソンは日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーが代表の再選考はしない方針を示した。1992年バルセロナ五輪の男子マラソンで銀メダルを獲得した森下広一氏(トヨタ自動車九州監督)は「メンバーは最強の6人。代表を替えたらMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)をやってきた意味がなくなる」と、この決定を支持した。

 五輪ごとに代表選考で騒動が巻き起こったマラソンは東京五輪から新しい選考法を採用。昨年9月のMGCの男女上位2人を代表に決め、残りの1人ずつは今年3月までの男女各3大会のファイナルチャレンジで選んだ。マラソンは昨年11月に会場が東京から札幌への開催地変更が決定。さらに1年延期という選手にとっては動揺が大きい決定が続いた。

 森下氏は「選手は国立競技場にゴールしたいという思いがあったはず、それでまた今回のことがあり気持ちの面が不安。1年は長い」と指摘。「モチベーションは一度下がってしまうかもしれないが、しっかり上げられるようにフォローをしてあげないと」と心のケアの必要性を説いた。

柔道・日下部基栄氏「やる気落ちるなら資格ない」

 全日本柔道連盟(全柔連)は14階級中13階級が決まっている代表の処遇を明らかにしていない。2000年シドニー五輪の銅メダリスト、日下部基栄さん(福岡大女子監督)は再選考を否定。「1年延期になってやる気が落ちるなら代表の資格はない。準備期間が増えたと思えばいい」と代表選手にメッセージを送った。

セーリング・三船和馬氏「どんな状況でもしっかり練習を」

 日本がボイコットした80年モスクワ五輪のセーリング代表に決まっていた三船和馬氏(日本経大監督)は再選考自体が難しいと考える。セーリングは世界中のレースを転戦し、ポイントで代表を競うだけに「これからレースが本格化するシーズンになるが、開催できないのでは」とする。

 東京五輪は日本経大の教え子3人が代表に決まっている。レースをこなして強化できない中、「どんな状況でもしっかり練習できる。強化システムを確立したチームが強い」と語った。

新体操・田中琴乃氏「たくさん練習できる…ポジティブに」

 新体操団体で08年北京、12年ロンドンの両五輪に出場した田中琴乃さん(日本代表「フェアリージャパンPOLA」アンバサダー)=大分県別府市出身=は「1年間、たくさん練習できるとポジティブに考えるしかない」と捉えた。メンバー選考については「影響がある」とする。

 団体は2年に1度、扱う手具が変わる。本来は五輪後だった21年は変更の年で、選手によって得意な手具が違うためだ。「種目(手具)が変わるかどうか分からない。早く(決まって)練習したいと思う」と選手の気持ちを代弁した。 (向吉三郎)