野球に続いてサッカーも帰ってくる。新型コロナウイルスの感染拡大を受けJ1、J2の第1節を実施した後に中断していたJリーグが27日に再開(J3は開幕)する。約4カ月ぶりの公式戦で、J2アビスパ福岡は28日にアウェーでFC琉球と対戦。スペイン出身で来日2年目のGKセランテス(30)は母と兄がウイルスに感染していたことを初めて明かし、母国や日本への思いを抱きピッチに立てる喜びを語った。

■因縁の相手「今度こそ」

 サッカーができる喜びを全身で感じながらセランテスはゴールの前に立つ。「つらい時を乗り越えて大好きなサッカーができる」。28日から福岡のJ1昇格を目指す戦いが始まる。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、サッカーがある日常は全世界で奪われた。来日2年目。異国で不安な日々を過ごした外国人GKにはショッキングな知らせも舞い込んだ。感染が爆発的に広がったスペイン出身。同国のバスク州ビルバオ近郊に住む67歳の母と40歳の兄も感染した。

 大事には至らなかったが、母は以前肺炎を患っている。セランテスは「近くにいられないのは寂しかったし、心配だった。何で会えないのか。一緒にいてあげられないのか」と自問自答した。

 そんな中、現地報道では古巣のスペイン1部ビルバオ移籍も取り沙汰された。オファーの有無など情報の真偽については語らなかったが「クラブから出ていくことを考えたことはない」と断言する。昨年は下位に沈んだチームにあってビッグセーブを連発。「アビスパ福岡選抜総選挙」で1位に選ばれるなど1年目からサポーターの心をがっちりつかんだ。守護神は「チームの目標を達成して、より長くアビスパで、日本でプレーしたい」とJ1昇格を誓う。

 中断前の2月23日の開幕戦はアウェーで北九州との福岡ダービーを制した。ビッグセーブはなかったが、それはチームとしての守備が整備されている証拠。「全員攻撃、全員守備の高い意識が求められる中で(新)外国人選手もすぐに適応し、チームの力になっている」と、さらに進化した姿を披露する自信を持つ。

 再開初戦でぶつかる琉球は、自身の日本デビュー戦となった昨年の開幕戦で3失点を喫し、チームも敗れた因縁の相手。あの時もアウェーだった。「1年の経験を積んで、今は日本のサッカーが分かっている。去年は悔しい思いをしたが、今年こそはいい結果を取りにいきたい」。さらに頑丈になった福岡の最後のとりでは簡単には崩れない。 (向吉三郎)