タカ番記者コラム「好球筆打」

 ◆日本ハム1−1ソフトバンク(30日、札幌ドーム)

 工藤ホークスが閉塞(へいそく)感から抜け出せない。連敗脱出を図った日本ハムとの6連戦初戦は敗れはしなかったものの、勝利することもできなかった。延長10回ドロー。これで開幕から10試合を戦って、白星はまだたったの三つと苦しい状況が続く。

 「開幕ダッシュして、ぶっちぎりで勝つ思いでいく。われわれはリーグ優勝しなくてはいけないチーム」。当欄でも何度か触れてきたが、開幕前、工藤監督がチームの士気を高めるために口にした「スタートダッシュ」は、完全に失敗に終わったと言っていい。3勝6敗1分けの借金3では致し方ないだろう。

 とにかく「投打のバランス」が悪い。打線が打てば投手陣が打ち込まれ、投手陣が抑えれば打線が封じ込まれる。波に乗りきれないチームの典型的なパターンにはまっており、打開策が見当たらない。試合中の工藤監督の表情からも、苦悩の様子がうかがえる。

 この日も3回に1点を先制しながら、4回以降は無安打のまま。出塁もバレンティンの四球と相手失策による2度だけで、最少失点でこらえる投手陣を援護できなかった。28日の西武戦も2回までに4安打で3点を奪いながら、3回以降の出塁は2四死球のみの無得点。最終的にサヨナラ負けにつなげてしまった。

 「勝てなかったのは残念だけど、負けたわけではない」。工藤監督の言葉通り、確かにこの日は黒星を重ねたわけではない。長いシーズンを戦っていれば、正直、不調の時期はあるだろうし、底の状態が開幕からきただけかもしれない。

 ただ、今年が例年と違うのはシーズン120試合制ということで、各選手の復調を待つ時間に限りがあるということだ。もちろん工藤監督はそれを理解しているからこそ、今年は一貫して「結果重視」を唱え続け、練習試合で本来の姿にはほど遠かった内川を開幕2軍スタートとした。ブレない芯の強さは、工藤監督のスタイルでもある。

 そんな指揮官に、いまの打線はどう映っているのだろうか。この日でいえばバレンティン、上林、牧原、松田宣と打率1割打者が4人も先発オーダーに並ぶ。「結果重視」を貫くのであれば“聖域”を無くし、三森や周東といった若手を積極起用することで、チームに新風を吹かせるのも一つの手だろう。とにかく今のままでは、ズルズルいってしまいそうで怖い。 (石田泰隆)

◆主軸も落ち着かず

 ソフトバンクが今季10試合で早くも9通り目のオーダー。リーグでは日本ハムと並び最も多い。目立つのは主軸の入れ替えで3番=3人(柳田、バレンティン、今宮)▽4番=3人(バレンティン、上林、長谷川)▽5番=4人(長谷川、上林、明石、バレンティン)といずれも3人以上。工藤監督就任後、各年の開幕10試合目までを見ると15、17、18年はクリーンアップ不動、16年は5番が変動も3、4番は変わらず、19年はグラシアルが故障離脱する前の開幕7戦目まで不動。今年はスタートからやりくりに苦しんでいることがうかがえる。