そんな渡辺さんが、レースの拠点を東京から中国地方に移すことになった。

その際、伊万里に祖父の別荘があったため、レーシングカーや部品を入れ、ガレージとして使うことにした。


 当初は、レースごとにスポーツコーナーのメカニックを頼んでいたが、人手が足りないこともあって、自らも整備に携わっていた。

そんな渡辺さんの元に、トラブル続きのGT‐Rが持ち込まれ、S20型エンジンを快調に直したことを機に、修理の依頼が殺到。

そのため、「不本意」ながらレーサーを廃業し、整備を行うようになったのだ。


 今回紹介する赤いKPGC10は、渡辺さんのノウハウを集約したマシン。

搭載するエンジンは、約30年前に組み上げたフルチューンのS20型エンジンで、排気量は2L。

ただし、キャブレターはレース用となるウエーバー48DCO/SPという大口径タイプを、独自のセッティングによって街乗りからサーキットまでストレスなく使えるように調律。

ミッションは最終となるワークスF仕様が組み合わされている。

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タコメーターはウルトラ製ステップモータードライブに変更。左下はKS製の油圧計を装着。コラムカバーとステアリングシャフトのスイッチ類はウインカー以外は外し、ライトのスイッチは右側の吹き出し口上に新設。




左右ドアはドライカーボン製。ドライバーの足元のペダルはアルミ製だ。





ブレーキは、性能と重量のバランスを考え、フェラーリ348用キャリパーとBMW用のローターを組み合わせている。





トランクの燃料タンクは、純正(100L)からATL製に変更。給油口のキャップは、フェラーリのオイルタンク用で、レベル確認用のステー付きだ。





トランクのキャッチ部分もワンオフで製作したものだ。





スッキリしたエンジンルームには30年前に組んだままだというフルチューンのS20型エンジンが収まる。


カムはIN側が8K(作用角300°、リフト10.5mm)、EX側が8L(300°、10.0mm)、ピストンは当時のレース用オプション、コンロッドはI断面のワークス仕様、クランクはノーマルをバランス取りしたもの。

タコ足は当時のレース用を装着。

ヘッドカバーは、プラグキャップの抜け防止加工が施されたレース用だ。




掲載:ノスタルジックヒーロー 2011年12月号 Vol.148(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)