都市工学というキャッチフレーズで山から降りてきたスカイライン 1980年代半ば、プラザ合意によって円が変動相場制に移行すると、輸出産業を中心として大変な好景気へと日本は突入していく。景気が右肩上がりなら、マイカー所有率もそれに呼応するかのように飛躍的に上がった。ご近所での所有車に関する話題は、国民総中流意識と合わせて周囲の視線とのバランスを取ることでもあった時代。昭和も末期といえる頃だ。

 そこへは80年代初頭からのトヨタの戦略が見事にマッチした。81年にクラウン以外の高級車として、パーソナルユース前提の選択肢、ソアラを提示。さらにマークⅡ3兄妹による波状攻撃で、ユーザーに対し「社長じゃないけれど偉いんだ」的意識の植え付けにも成功していた。

R31 スカイライン

 そもそも高級車市場で強かった日産が、そんな状況に黙っていられるはずもない。ハイソカーブームとまで呼ばれた白いマークⅡ3兄妹の破竹の勢いに、なんと走りの権化でもあるスカイラインを軌道修正してしまうのだ。こうして誕生したのが、ソフトなクルマに仕立てられた7代目のR31だった。

 発売当初は「都市工学」というコンセプトにより、「山稜」から滑り降りてきた7thスカイライン。そのコンセプトからも分かるように、山岳路の走りよりも、日常的な使い勝手、豪華なインテリアに重きを置いたかのような変貌ぶりだった。



絶壁デザインの最後ともいえるR31だが、装備は豊富。


渋い赤系でコーディネートされた、すなわち80年代的高級車インテリア。


ハチマルヒーローvol.12 2009年 12月号 (記事中の内容はすべて掲載当時のものです)