これも、野球文化の違いだろうか。

 ゼラス・ウィーラーがチーム合流2日目となる7月1日のDeNAとの試合前、守備練習でセカンドに入った。その後、ファーストミットを持って一塁の守備練習もこなしていた。原辰徳監督は「内野も外野も守れるのは大きい」(6月30日)と話していた。一塁の守備は分かる。しかし、巨漢のウィーラーがセカンドを練習していたのは、ちょっと衝撃的だった。

 「原監督はプラス思考の指揮官です。ウィーラーをセカンドに入れて、外野に丸、パーラ、亀井を入れる重量級打線も考えているのかもしれません」(スポーツ紙記者)

 メジャーリーグを経験した外国人選手は特にそうだが、「複数のポジション」をこなすのは当然のことと思っている。新しいポジションをテストされることも「出場機会が増える」と前向きに捉えている。

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 「セカンド・ウィーラー」の実現はともかく、同日のスタメン・オーダーを見て思った。巨人は年俸面でも“重量級打線”と言えそうだ。

 ウィーラー獲得のトレードが成立した直後の6月29日だった。プロ野球選手会が12球団の年俸総額を発表した。支配下登録選手を対象としたもので、ソフトバンクが平均7131万円(前年比593万円増)で、2年ぶりにトップに返り咲いた。

※ 
1位 ソフトバンク    7131万円
2位 巨人        6107万円
3位 楽天        5100万円
4位 広島        4236万円
(中略)
12位ロッテ       3035万円


 ソフトバンク、巨人の“ワン・ツー”は昨年と同様だ。両球団とも、優勝、日本一を強く意識しているからだろう。「費用対効果」という点では、首位戦線を順調に突き進んでいる千葉ロッテとなる。12球団トップの福岡ソフトバンクは勝率5割を切るスロースタートとなったが、現時点では巨人は高い年俸に見合った成績となっている。

 「第2のトレードを予想する声も少なくありません。『お金をかける』と言うと、悪いイメージを抱くファンもいますが、優勝戦線から早々に脱落してしまうと、営業面での打撃を受けます」(ベテラン記者)

 無観客試合での開幕となったため、すでに営業面で打撃を受けている球団も多い。選手会が発表した年俸額を減らすため、「主力選手の放出を考え出したチームがある」(関係者)との情報も駆け巡っている。主力級投手の放出があれば、巨人も放っておかないだろう。

 陽気なウィーラーの加入で、巨人ベンチは明るくなった。原監督が「水を得たフィッシュのごとくですね」(30日)と言って周囲を笑わせていた。未経験のセカンドでウィーラーは「アテにされている」と働き甲斐を感じ、巨人打線も厚みを増した。

 ウィーラーを手放した東北楽天も左のリリーバー・池田駿に期待を寄せている。お互いがプラスになれるのなら、トレードは前向きに捉えるべきだ。もっとも、高額なウィーラーの年俸を払えるとした巨人の資金力がなければ成立しなかったが…。

 プロ野球全体として、年俸は上昇傾向にある。しかし、今季の年俸、つまり、契約更改は新型コロナウイルス禍の始まる前に交わされたものだ。米国では選手会と経営陣が年俸の減額幅を巡って激しくぶつかったが、日本では「おカネ(年俸)でもめるのは、お互いに取ってマイナス」という発想だ。いずれにせよ、今季はカネについて考えさせられる場面も多く見られそうだ。(スポーツライター・飯山満)