単なるアクシデントでは済まないだろう。

 ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手がキャンプ再開初日(7月4日/現地時間)、頭部に打球が直撃するアクシデントに見舞われた。対戦形式の練習に登板し、打球が田中に向かって一直線で跳ね返ってきたのだ。田中は首をすくめ、グローブを出したが、間に合わなかった。

 「チームメイト、スタッフが駆け寄り、騒然となりました。最後は自身の足で歩き、ベンチに下がって行きましたが。病院で精密検査を受け、『異常ナシ』と診断されたものの、大事を取って、いったん開幕ローテーションから外れるのではないかと思われます」(特派記者)

 田中は自身のツイッターやインスタグラムで「大丈夫です」とも伝えていたが、メジャーリーグは頭部に関する出場規約が厳しく作られている。その後、「脳震盪」というブーン監督の発表もあっただけに、慎重にならざるを得ないだろう。

 「メジャーリーグに移籍して以来、6年連続の2ケタ勝利を収めています。今年は試合数が少ないので、その記録はストップしてしまいそう」(前出・同)

 気になるのは、田中の契約だ。今季が7年契約の最終年である。試合数の激減、今回のアクシデントは考慮されるはずだが、最終年が成績ダウンとなれば、来年以降の新たな契約にも影響してくるだろう。減額提示、あるいは、田中サイドが希望する5年前後の長期契約も難しくなってくる。

 「契約期間は3年、4000万ドル(約43億円)と更新内容が予想されていました。新型コロナウイルス禍で無観客試合は避けられず、当初の予想よりも低い金額になりそう」(米国人ライター)

 田中の最大の武器は、ポストシーズンマッチに強いこと。メジャーリーグでは、ペナントレースの成績がイマイチでも、ポストシーズンマッチで活躍すれば昇給するという。しかし、こちらも一連の新型コロナウイルス禍で通常の交渉となるかどうか、疑問だ。

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 また、契約最終年にかける意気込みについて、こんな情報も聞かれた。

 「田中はノーワインドアップ投法でしたが、今年からワインドアップ投法に変えています。ボールに勢いを増すためのマイナーチェンジです。春季キャンプが途中で打ち切りとなったため、新しい投球フォームの実戦テストがまだなんです。実は、頭部に打球が直撃した4日が初めて、バッターに対して投げたものなんです」(前出・同)

 気の早い話ではあるが、仮にヤンキースが優勝戦線から脱落してしまった場合、今回の出遅れが「トレードの引き金」になるかもしれない。下位低迷のチームが優勝争いを繰り広げているチームに高額年俸の選手や契約最終年の選手を放出するのは、よくあること。田中は「トレード拒否権」を持っているが、フィリーズには元ヤンキース指揮官のジラルディ監督がいる。そのことを指して、「田中の慰留契約が難行すれば、フィリーズに放出。田中もジラルディ監督のいるフィリーズならトレードを受け入れる」との見方も、米国内にはあるという。

 打球直撃は大ケガにつながらなかったのは、不幸中の幸い。しかし、調整はもちろん、実戦テストが十分にされないまま、ペナントレース本番を迎えることになるかもしれない。田中にとって、つらいシーズンにならなければいいのだが…。(スポーツライター・飯山満)