スター選手同士による二遊間コンビが見たい――。今オフの国内FA市場の最大の目玉、それは東京ヤクルトスワローズの山田哲人内野手の去就だ。打率3割、本塁打30、盗塁30のトリプルスリーを3度も獲得し、高い出塁率も誇る。NPBナンバー1の二塁手と言っていいだろう。

 「一時期はメジャーリーグに興味を示していたみたいだけど、今は挑戦したいという思いはないみたい。ヤクルト残留か、国内のどこかに新天地を求めるかの二択で間違いない」(ベテラン記者)

 フリーエージェント(以下=FA)権を行使するのも、間違いないだろう。昨年オフの契約更改で、球団は複数年契約を結ぶことに失敗しているからだ。

 山田の推定年俸は5億円。新聞社発刊の選手名鑑を元に計算すれば、プロ野球界3位タイ。成績が突出しているとは言え、「FA退団する」と読む側の根拠は、「これ以上、高くなったら払えない」というものだ。一部メディアでは、原巨人へのFA移籍を既定路線のように伝えていたが…。

 「2007年オフ、ヤクルトは4番バッターのラミレスとエースのグライシンガーを同時に巨人に引き抜かれました。ヤクルトナインの憤りは激しく、巨人戦では殺気立っていました」(前出・同)

 山田は当時のことは知らない。昨年オフ、巨人は鈴木大地、美馬学のFA交渉に敗れている。「巨人一辺倒の時代は終わった」とも言える。しかし、意外なことに(?)、「坂本勇人と山田の二遊間コンビを見てみたい」というファンの声も少なくないのだ。

 「きちんとしたアンケート調査がされたわけではありませんが、他球団のファンはそう捉えています。ヤクルトファンの間にも『諦め半分』でそんな風に…」(在京球団スタッフ)

 好意的な声があるのは、侍ジャパンの影響だろう。代表チーム・侍ジャパンの常設が決定して以来、12球団の精鋭、看板選手が集まって一つのチームになる魅力はファンの間で確実に浸透している。お祭りムードのオールスター戦とは異なる真剣勝負だから、ファンも熱心に応援するのだが、こんな“弊害”も報告されている。

 「他球団の選手と仲良くしすぎ。サインプレーなど、秘密が洩れなければいいのだが」

 年長のプロ野球解説者の言葉だ。試合前、対戦チームの選手と仲良く談笑する光景も珍しくなくなった。年長者は、それに違和感があるそうだ。

 「山田は坂本に憧れのような感情も持っています。近年の巨人はセカンドを固定できていないし、山田を欲しいと思うのは当然」(前出・ベテラン記者)

 坂本との二遊間コンビが実現すれば、巨人、ヤクルト以外のファンも興味を持つだろう。

 だが昨今、「資金力豊富なソフトバンク、巨人、楽天、オリックスなどとマネー戦争になっても、ヤクルトに勝算アリ」の声も出始めた。実は、ヤクルトの球団営業には海外で活躍してきたイベント事業のプロがヘッドハンティングされており、球場広告も確実に増やしている。2031年には新・神宮球場がお披露目される。11年も先の話で山田を縛ることはできないが、チケット販売力で“4度目のトリプルスリー”を目指すスター選手に相応しい昇給額も提示できるはずだ。

 山田はFA権について何も語っていない。アレコレとウワサが交錯するのも、スター選手の宿命だろう。いずれにせよ、「坂本とのコンビが見たい」と移籍に好意的な声があったのは、ちょっと驚きだ。(スポーツライター・飯山満)