2013年ドラフトで3位指名を受け巨人に入団し、昨季までに「162登板・36勝37敗16ホールド2セーブ・防御率3.49」といった成績を残しているプロ8年目・25歳の田口麗斗。1日に発表されたヤクルトへのトレード移籍は多くのプロ野球ファンを驚かせた。

 今回のトレードで巨人は田口をヤクルトに放出し、代わりにプロ6年目・23歳の廣岡大志を獲得。2019年に2ケタ10本を放つなどパンチ力のある廣岡の獲得理由について、原辰徳監督が「右の大型選手というのは、(坂本)勇人の次がなかなか出てきていない(から)」と語ったことが伝えられている。

 >>ヤクルト・高津監督、廣岡トレードは事後報告だった? フロント主導で実現もブルペン陣は渡りに船か<<

 2016〜2017年にかけ2年連続2ケタ勝利(10勝、13勝)をマークした田口の放出を受け、ネット上には「2ケタ2回クリアしたことある田口を出すとはびっくり」、「田口放出、廣岡獲得は釣り合ってるんだろうか」と驚きの声も。このトレードにより、田口が指名を受けた2013年ドラフト組の選手はチームに残り1名となった。

 巨人は2013年ドラフトにおいて田口を含め5名を支配下指名している。しかし、4位・奥村展征(→ヤクルト/2015年1月に人的補償で移籍)、5位・平良拳太郎(→DeNA/2017年1月に人的補償で移籍)、2位・和田恋(→楽天/2019年7月にトレード移籍)と1人ずつ巨人を去り、今回の田口のトレードで残りは1位・小林誠司のみとなっている。

 指名から約8年が経過した選手がトレードなどでチームを去ること自体は珍しいものではないが、巨人の2013年ドラフト指名選手は5名中4名がトレード・人的補償で退団と他に例がない事態となっている。放出が相次ぐ理由は様々考えられるが、“ポスト原監督”を見据えたものという見方もある。

 原監督は2019年から第3次政権をスタートさせているが、ファンやメディアの間では3年契約が満了する今季で退任し、GMなどフロント職に転向するのではと予想されている。本人は実際の去就についてまだ明言してはいないが、2019年から現在までに元木大介(一軍ヘッドコーチ)、阿部慎之助(二軍監督)、桑田真澄(一軍投手チーフコーチ補佐)と有力OBを相次いで入閣させるなど後継者を確保するような動きも見せている。

 自身の後任が結果を出せるかは本人の采配はもちろん、計算できる選手がどれだけいるかにも左右される。そのため、原監督は指揮を執る中で選手の価値を見定め、見切りをつけた選手をトレード・人的補償のプロテクト外とする形で戦力整理を進めているのではないだろうか。

 実際、原監督は第3次政権時代に今回を含め6件のトレードを成立させているが、放出選手の中で新天地で地位を築いたといえるのは澤村拓一(現レッドソックス)のみ。一方、獲得選手では高梨雄平、ウィーラーといった選手が一軍戦力として定着しているため、ここまでの“収支”は間違いなくプラスといえる状況だ。

 こうした点を踏まえて2013年度ドラフトを振り返ると、小林以外の4名は高卒の選手で、小林も石川歩(ロッテ)を抽選で外したことを受けての外れ1位となっている。目当ての石川が獲れず将来性を重視した指名に切り替えたものと思われるが、原監督は5名がいずれも思うような成長を見せていないと判断し、彼らができるだけ若いうちに整理してしまおうと考えたのかもしれない。

 となると、原監督は契約最終年となる今季終了までに、2013年組最後の1人である小林を絡めたトレードを敢行する可能性もある。小林は大城卓三、炭谷銀仁朗、岸田行倫と捕手3名体制が確立している現状では優先度が低い選手のため、絶対的な正捕手がいない楽天、日本ハムといった球団とはいい交渉ができるかもしれない。

 原監督は今回トレード放出した田口に対し、「田口は打倒ジャイアンツ、われわれは戦う時には打倒田口というところ」と巨人を脅かす投手になってほしいと語ったことが伝えられている。この言葉が本心かどうかは本人しか分からないが、いずれにせよ今後の動きにも注目が集まりそうだ。

文 / 柴田雅人