藤田菜七子のフェブラリーSやいかに。女性騎手誕生から23年目の大挑戦。

藤田菜七子のフェブラリーSやいかに。女性騎手誕生から23年目の大挑戦。

 今週の第36回フェブラリーステークス(2月17日、東京ダート1600m、4歳以上GI)で、藤田菜七子がJRA所属の女性騎手として初めてGIに騎乗する。

 騎乗馬はコパノキッキング(セン4歳、父スプリングアットラスト、栗東・村山明厩舎)。風水の第一人者として知られるDr.コパこと小林祥晃オーナーが所有し、トライアルの根岸ステークスを4連勝で制した有力馬だ。

 その根岸ステークスで手綱をとったのは、短期免許で来日していたオイシン・マーフィーだった。レース前から、そこで1着か2着になったら藤田でフェブラリーステークスに向かおうと、オーナーは村山調教師に話していたという。

 藤田は小林オーナーの馬で5勝を挙げているが、コパノキッキングに実戦で騎乗するのは初めてになる。それでもオーナーが藤田を起用した理由は、やわらかく乗れるから。テンションの上がりやすいこの馬に、ソフトな当たりの藤田は「手が合う」と考えたのだ。

 コパノキッキングは昨年2月4日、京都ダート1200mの3歳未勝利戦でデビュー。そこを8馬身差で圧勝し、前走の根岸ステークスまで9戦7勝。負けた2戦はどちらもダート1400mだった。1000mで2勝、1200mで4勝という成績から1400mは長すぎると見る向きもあるなか、同距離の根岸ステークスを完勝。

唯一の不安材料は未経験の距離。

 しかし、騎乗したマーフィーも「ベストは1200m」とコメントしていたように、腕で距離をもたせて勝った、という部分も確かにあった。

 ここはさらに200m延びる1600m。コパノキッキングにとって初体験の距離となる。

 昨年のノンコノユメ、2016年のモーニンも根岸ステークスを勝ってここを制しているが、どちらも1600m以上での勝ち鞍があった。

 能力、勢い、コパノリッキーで'14、'15年とレース史上初の連覇を果たしたオーナーの運など、勝っても不思議ではない要素をいくつも持っているコパノキッキングの唯一の不安材料が、距離だ。

引いたのは注文通りの外枠。

 競走馬がベストより長いところで好結果を出すとき、もっともよくあるのは、スローな流れのなかで脚を溜め、最後の瞬発力勝負で抜け出すパターンである。

 しかし、フェブラリーステークスはハイペースになる傾向があり、その消耗戦で差し馬が台頭する形が多い。

 いずれにしても、序盤は脚を溜めて、直線で勝負という競馬になるだろう。

 オーナーが繰り返し「外枠がほしい」と言っていたら、見事に7枠11番を引いた。あまり得意ではない芝コース上からのスタートなので、ゲートを出て少しの間は自然とゆっくりした走りになり、内の馬たちを先に行かせて、望む形に持ち込みやすい。

武、ルメール、デムーロの馬も強い。

 立ちはだかる相手も強い。

 1番人気になるのは、前走、6連勝で東海ステークスを勝った武豊のインティ(牡5歳、父ケイムホーム、栗東・野中賢二厩舎)か。東京コースもダート1600mも未経験だが、コパノキッキングと逆で、距離を縮めてここに来る形なので、不安は少ない。おそらくハナを切るか、そうならなくても2、3番手からレースをすることになるだろう。逃げる武を藤田が追う、という展開になりそうだ。

 一昨年の覇者ゴールドドリーム(牡6歳、父ゴールドアリュール、栗東・平田修厩舎)は、昨年も2着と好走している。東京ダート1600mでは5戦して3着以下になったことがない安定ぶり。鞍上のクリストフ・ルメールもこれが5戦目なので、もう完全に特徴をつかんでいるだろう。リピーターが活躍しやすいレースだけに、やはり怖い。

 コパノキッキングと同じ「強い4歳世代」のオメガパフューム(牡4歳、父スウェプトオーヴァーボード、栗東・安田翔伍厩舎)も勢いがある。前走の東京大賞典でゴールドドリームを2着に下してGI初制覇。鞍上が、このレースを2勝しているミルコ・デムーロというのも強調材料になる。

 昨年、南部杯とチャンピオンズカップを圧勝してダート王となったルヴァンスレーヴがいないだけに、ここに記したどの馬にも勝つチャンスがある。

JRAに女性騎手が誕生してから23年。

 ということで、結論。

◎コパノキッキング
○ゴールドドリーム
▲オメガパフューム
△インティ
×サンライズノヴァ
注サンライズソア

 終わってみたら、また「ルメ・デム」か、というパターン、つまり、ゴールドドリームとオメガパフュームの1、2着で決まりそうな気もするが、ここはひとつ、夢に賭けてみたい。

 藤田がデビューしてから3年、JRAに初めて女性騎手が誕生してからは23年、昭和の初めに斉藤すみが日本で初めての女性騎手として免許を取得(騎乗は叶わなかった)してからは83年になる。

 デビューイヤーは6勝、2年目は14勝、3年目は27勝と、前年のほぼ倍のペースで勝ち鞍を重ね、4年目に突入する藤田菜七子は、先週50勝目を挙げ、JRA女性騎手の最多勝記録を更新しつづけている。

 短距離戦でゲートから出して行くときの全身の沈め方や、直線で何度も馬銜を強く当て直しながら追う迫力など、一見して、デビュー当初から大きく進化していることがわかる。大きなチャンスをもらえる騎手イコールいい騎手なのだが、その意味でも、彼女は確実にいい騎手になろうとしている。

 1988年オークスの熊沢重文、'91年天皇賞・秋の江田照男以来、グレード制が導入された'84年以降3例目の、JRA・GI初騎乗初勝利なるか、注目したい。

文=島田明宏

photograph by Kiichi Matsumoto


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