六大学野球で大真面目に妄想する。小宮山監督がベースコーチなら……。

六大学野球で大真面目に妄想する。小宮山監督がベースコーチなら……。

 いよいよ、13日の土曜日から「東京六大学リーグ戦」が神宮球場で幕を開ける。

 実は、あらたまって「いよいよ……」などと言えるほど盛り上がっていないのが、ちょっとさみしいところなのだが、「学生野球」の象徴として、もうひと息の盛り上がりを期待したい。

 昨年の晩秋ごろだったか、母校・早稲田大学の野球部監督に小宮山悟元投手が就任すると聞いたとき、途端にフッと頭に浮かんだ光景があった。

 小宮山新監督が「三塁ベースコーチ」に立っている姿だ。

 あの大きな体で、三塁側のコーチャーズボックスに両手を腰に当てて立ちはだかり、マウンドの相手投手をにらみつけ、慣れない手つきで打者に、走者にサインを送り、ひるみそうな打者に気合いを入れ、見送りの三振に怒り狂い、タイムリーヒットが飛べば、三塁ベースを回るランナーに向かって、あのメジャーリーガーまでやっつけた長い右腕をグルグル回しながら、なんなら、一緒になって、ホームベースにまで突っ込んでいく。

ベースコーチ、見たいなあ……。

 見たいなあ……と思った。

 すごく見たいなあ……と思って、ある場所で顔を合わせた時に話を振ってみたら、「いやいや、私なんて」と一笑されてしまった。

 まだ、正式に監督の任に就く前で、照れくさい思いもあったのかもしれない。

 でも私は、今でも本気で、ベースコーチに出てくれないかなぁ……と思っている。

 人が見に来るだろうと思う。

 事実、ここに、小宮山新監督のベースコーチ姿を見たいとこんなに思っている者がいるのだ。1人いれば1000人いる。それが世の中というものだろう。もっとたくさんの人たちに「六大学」を観に来てほしいと強く願っている連盟の思いにもかなっているはずだ。

 見に来てもらうには、最初の1回が肝心だ。

慶應、東大も黙ってないだろう。

 動機はなんでも、まず見に来てもらうこと。一度見に来てもらえば、今の学生野球は間違いなく面白い。

 ちょっと前まで甲子園で活躍していたあの選手がいる、この選手もいる! そんな彼らが野球に打ち込んでいた同じ時間に、一方で、勉強に打ち込んでいた東京大学の選手たちが、甲子園組を向こうに回して互角の試合をやってみせている。

 一度見れば、リピーターになってくれる野球ファンがたくさん現れるはずだ。

 小宮山監督がベースコーチに出れば、慶應義塾大学・大久保秀昭監督だって黙ってないだろう。慶應、早稲田の現役監督が共にベースコーチとして陣頭指揮を執る早慶戦、もしくは慶早戦。

「元プロ」なんて陳腐な話題性など必要ない。今の、学生野球監督としての“雄姿”を見てみたいと思わないか。

 東京大学の浜田一志監督なんて、真っ先にベンチを飛び出してくるに決まってる。新しいこと、これはよい! と思うことには、とても前向きな方だ。

当然、明治、立教、法政だって!

 当然、明治大学・善波達也監督も出てくる。

 試合前のシートノックを必ず打つ監督さんが、前に出てチームを引っぱりたくないわけがない。今まで出てこなかったのは、誰かが出てくるのを待っていただけ。そういう奥ゆかしい方だ。

 4人出るなら、オレだって!

「セント・ポール」の指揮官の顔を見せてやろうじゃないか。立教大学・溝口智成監督がシュッとグラウンドに姿を現せば、

「ほんとは、ちょっと出にくいんだけどなぁ……」

 法政大学・金光興二監督代行を引っ張り出すこともできるだろう。

 チームにゴタゴタがあった直後の大切なシーズンだ。余計に、指揮官のなりふり構わぬ陣頭指揮がチームを1つにするのではないか。

愛する六大学開幕でつい妄想を。

 そもそも、学生野球とは、学生さんたちが共に机を並べる学友、級友のプレーを応援しようと球場に詰めかけたのが、「観客」の始まりと聞いている。

 そこに家族が加わり、学友、級友の友だちが加わり、その面白さを伝え聞いた人たちが集うことになったのがリーグ戦のスタンドである。

 その後、100年近い時が経ち、時代が移り、世の中も変わった。

 指揮官たちの懸命な姿に魅力を感じて、人が球場にやって来る。そんな時代があってもよい。

 もとより、野球とは「スポーツ」であろう。ならば、その指揮官たちがダグアウトという奥に引っ込んで、なにやらゴチョゴチョやっている。そんなことは、プロだけにまかせておこうじゃないか。

 いつもは、いたって真面目なコラムを書いているのだが、愛する「東京六大学」の開幕にあたって、ついつい“妄想”に走ってしまった。

 こんなふうに書かれた後では、監督さんたちも出にくくなってしまったかもしれないが、私としては、これは大真面目な妄想なのであり、また本気でそうなることを願っている野球ファンだって、間違いなくたくさん潜在していると信じている。

文=安倍昌彦

photograph by Yuki Suenaga


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