熾烈なメンバー選考、新ルールも導入。開幕迫るU-20W杯の切符は誰に?

熾烈なメンバー選考、新ルールも導入。開幕迫るU-20W杯の切符は誰に?

 5月23日に開幕する2年に1度のU-20W杯。東欧ポーランドで開催される今回、日本はエクアドル、メキシコ、イタリアと同じグループリーグに入った。

 この大会に向け、U-20日本代表が国内では最後となる合宿を千葉県で張った。わずか3日間の招集で、練習試合も最終日の全日本大学選抜との一戦のみだったが、チームを率いる影山雅永監督は合宿での狙いをこう話す。

「もう本番まで1カ月もない中での最後の招集でしたし、次は招集してすぐポーランドに行く。今更、選手選考ということはないです。チームを成熟させたい気持ちで臨みました。でも、今回招集できなかった選手もいるので、自分がボーダーにいることは、選手たち自身が感じていると思います」

 久保建英(FC東京)、齊藤未月(湘南ベルマーレ)ら、所属チームとの兼ね合いで招集を見送られたであろう選手たちとの競争は残っているものの、ほぼ大枠を決めての合宿となった。

GKは3枠、谷と大迫は当確か。

 ここではこの合宿での注目ポイントにいくつか触れていきたい。

 まず注目はGKを4人招集したことにある。今回、招集されたのは大迫敬介(サンフレッチェ広島)、若原智哉(京都サンガ)、谷晃生(ガンバ大阪)、茂木秀(セレッソ大阪)。最終メンバーのGK枠は選ばれるのは3人が常であるため、ここから1人が落ちるということになる。

 この中で昨年のAFC U-19選手権メンバーは大迫、若原、谷。その時の序列は第1GKが谷、そのあとに大迫、若原が続いた。

 今年に入り、大迫が所属チームで正GKの座を掴み、5試合連続完封を記録するなど、一気に頭角を現してきた。さらに全日本大学選抜との試合で起用されたのは前半は茂木、後半から若原。

 この流れを見ると、U-17杯で世界の舞台を経験済みの谷と、J1で経験を積んでいる大迫を追う形で残り1枠を茂木と若原が争うような印象を受けた。

器用な選手が重宝されるDFライン。

 CBに目を向けると、三國ケネディエブス(アビスパ福岡)、小林友希(ヴィッセル神戸)、橋岡大樹(浦和レッズ)、瀬古歩夢(C大阪)、角田涼太朗(筑波大学)の5人が選ばれた。ここでは本職というよりも、複数のポジションをこなせる選手を多くセレクトした傾向が見て取れる。

 ボランチをこなせる小林、橋岡はCBとボランチだけでなく、浦和では右ウィングバックを任されるなど、選択肢は広い。左利きCB角田は左サイドバックも対応可能だ。さらに三國は、所属チームで右サイドバックを試されるなど経験値を挙げている上、FW出身だけに終盤のパワープレーとしてのオプションも持つ。

 ただ、合宿中に負傷で辞退した角田の代わりに招集されたのが、CB一筋の関川郁万(鹿島アントラーズ)だったことを考えると、DFラインの軸を誰とするのか、どのような組み合わせで挑むのか、影山監督は悩んでいるようにも受け取れる。

 全日本大学選抜戦では前半は三國と小林のコンビ、後半は小林と関川、途中で橋岡と関川のコンビとなった。複数ポジションをこなせることを加味しても、CBとしては最大が4枚と考えられるだけに、ここもギリギリまで熾烈な競争が起こりそうに感じた。

気がかりな橋岡の負傷。

 だが、合宿明けのJ1第8節。神戸戦に右ウィングバックでスタメン出場をした浦和・橋岡は57分に左太もも裏を痛めて倒れこみ、そのまま担架で運ばれてしまった。橋岡はCBの中で一番のユーティリティー性の高い選手だけに、このタイミングで離脱するようなことがあると、チームにとってもかなりの痛手になるだろう。

 試合後、松葉杖姿でミックスゾーンに現れた橋岡は「大丈夫だと思います。この格好は大事をとって大袈裟にこうしています」と、軽症を強調したが、無事であることを祈るばかりだ。

“高さ”がほしいFW陣。

 今回、FWは宮代大聖(川崎フロンターレ)と西川潤(桐光学園)の2人のみの選出だった。ここに久保が割って入ることが予想できるが、となれば、“高さ”が物足りなくなる。AFC U-19選手権では田川亨介と原大智(ともにFC東京)が起用されていたが、今回は2人とも合宿に参加しておらず、2トップの一角にはMF登録の183cmの郷家友太(神戸)が起用された。

 前述したCB三國を投入する策も考えられるが、やはりもう1人長身FWがほしいところ。先月実施したポーランド遠征ではナイジェリア人の父と日本人の母を持つ櫻川ソロモン(ジェフユナイテッド千葉U-18)を招集。190cmという長身とフィジカルの強さを誇る期待のFWだ。

 この3人のうち1人が入るのか、2人が入るのか、それとも入らないのか。ここも注目のポイントだろう。

新ルールはメリットになる?

 そして、もうひとつ。以前から、U-17W杯やU-20W杯ではFIFAが新しいルールやシステムを試験的に行う場としても活用されてきたが、今回も新たな試みが導入されるという。

 振り返ると、1993年のU-17世界選手権(現・U-17W杯)ではキックイン(スローインではなく、タッチラインを割ったらすべてプレースキックでスタート)を、前回のU-20W杯では全試合でVARを実験的に採用された。

 いくつかある中で大きな変化をあげると、ゴールキックとFKのルール改定だ。

 ゴールキックに関しては、これまではセットして蹴りだす時に、味方はペナルティエリアの外に出てボールを受けないといけなかった。それが今大会では、味方であればペナルティエリア内に残ってボールを受けてもOKというルールになる(その際、相手は従来の通りペナルティエリア内に入れないが、ボールがDFに渡った瞬間に入ることが可能)。

 これにより、GKからのビルドアップを行うチームであれば、素早くリスタートを行い、相手を食いつかせてから“すばやく裏を取る”攻撃を優位に進められることになる。直接的にルール変更に関わるGK大迫はこう語る。

「後ろからつなぐシチュエーションが今までより増えると思う。海外相手だと(ロングボールを)蹴ってもなかなか前で収める難しい中で、後ろから足元に繋いでいけるのは(日本にとっては)メリットかなと。

 でも、GKからすれば恐怖心を感じることもあるかもしれません。前線は(ボールを)受ける準備をしているのに、後ろが(ボールを)繋ぎたいという状況など、チーム内の意思疎通が合わなかった時に非常に危険な状態になるので、そこは1つ1つの練習から合わせていかないと命取りになりかねないと思います」

 メリットを感じつつも、チームとしての意思疎通を求めた。

FKではキッカー有利に。

 FKでは、壁の作り方がこれまでと異なるようだ。通常、FKを得ると守備側は壁をつくるが、その際、攻撃側にこれまで許されていた、壁に入り込んでブラインドをつくったり、隙間を開けるようなことができなくなった。最低でも前後左右1mは壁から離れないといけない。

 つまり、FKでのトリックプレーなどはやりづらくなるため、キッカーの能力がより明確に求められることになる。良質なキッカーを抱えるチームが優位とも取れる変革だ。

 こうした外的変化にも対応しないと、厳しい世界の舞台で勝ち抜くことはできない。全日本大学選抜との一戦でもこのルールを採用し、何度かトライしていた。

 今大会に参加する国は、必ずこういったルールを活用した攻撃を仕掛けてくるだろうし、対策を講じてくるだろう。特にグループリーグ最終戦で当たるイタリアは、戦術にうまく新ルールを組み入れてくることが予想される。日本の選手たちも新ルールへの対応力を身につけたいところだ。

最終メンバーは来月発表。

「いろんな選手のポジションの数で、オプションなのか、競争なのかがリストを見ればわかると思う。オプションを増やしたい一方で、できれば今、旬な選手を起用したい。活躍して乗っている選手を起用してチームを作っていきたいです」(影山監督)

 最終メンバー発表は来月。メンバーが決まってから、すぐにポーランドに入り、事前合宿からグループステージ初戦のエクアドル戦を迎えることになる。それまでは各自が所属チームで試合に出続け、コンディションを上げることに集中し、メンバーが決まったらチームとしての意識と覚悟を持たなければならない。

 果たして誰が最終メンバーに選ばれるのか。残り1カ月、時間はもう迫っている。

文=安藤隆人

photograph by Takahito Ando


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