20年ぶりのコパ・アメリカ取材!ドバイ経由25時間空の旅の果て……。

20年ぶりのコパ・アメリカ取材!ドバイ経由25時間空の旅の果て……。

 いやあ、遠い。南米ははるか彼方だ。

 どんなルートを辿っても、10時間以上のフライトを2本乗ることになる。

 身体はもちろん、気持ちが疲弊する。目的地に着いたその日の僕は、ほとんど遣いものにならないのがパターンだった。

 サッカー日本代表が出場中のコパ・アメリカに来ている。開催国のブラジルを訪れるのは2013年以降で4度目となり、そのすべてでエミレーツ航空を利用している。

 成田でも羽田でも出発は夜だ。当日も仕事ができるのが嬉しい。

 サンパウロ着は夕方なので、ホテルにチェックインしたら身体を休めて明日以降に備える。時間の使いかたに無駄がない。

 森保一監督と選手たちも、エミレーツ航空でブラジル入りした。海外遠征へ向かうサッカーの代表チームは、男女や世代を問わずにドバイ経由が少なくない。目的地が南米でもヨーロッパでも、乗り継ぎや到着後の行動がスムースなのだろう。

 今回はビジネスクラスで移動した。6月15日の22時に成田を発った。およそ11時間のフライトで中東のハブ空港ドバイへ着くと、約5時間のトランジットになる。ビジネスクラス専用のラウンジへ向かう。

 現地時間は早朝のためか、身体を横にできるスペースがほぼ埋まっていた。その代わりに、ソファーの並ぶ空間にはたっぷりとしたゆとりがある。

 電源を確保してパソコンを立ち上げメールを受信しつつ、その前の晩に行われたJリーグの映像をチェックする。いつもなら完全に持て余してしまう5時間も、シャワーを浴びて朝食を食べ、食後のコーヒーを飲んだりしているうちに搭乗時間に近づいていった。

14時間のフライト中にストレッチ。

 ドバイからサンパウロまでは14時間強である。ここからがキツい。ブラジル時間に合わせて、フルフラットのシートで睡眠をとる。

 飛行機でも新幹線でも、2、3時間乗ると左膝の機嫌が悪くなる。フルマラソンを走っても何ともないのに、座りっぱなしだとぐずぐずと文句を言うのだ。

 それがどうだろう。この日はいたって機嫌がいい。左膝だけでなく身体全体の凝りが、圧倒的に少ないのだ。シートで横になっているだけでなく、バースペースでストレッチができた(ちょっと遠慮気味に、だが)のも良かった。

 サンパウロには定刻より少し早めの16時40分に到着し、スーツケースをピックアップしてホテルへ。疲労は少なくても疲れがないとは言えないので、アルコールの力も借りて22時半にはベッドに入る。

 ……ところが、3時半には目が覚めてしまった。一般的に時差とは1日に1時間ずつ抜けていくもので、日本とブラジルの時差は12時間ある。5時間は寝ているのだから、上出来かもしれない。

参加国数で揺れ動いてきたコパ・アメリカ。

 コパ・アメリカの取材は20年ぶりになる。日本代表が招待されたのが1999年以来だからなのだが、個人的にはちょっぴり居心地が悪い。

 大陸選手権という意味では、ユーロやアジアカップと同じである。ところが、スタジアムに漂う空気は明らかに違う。

 かつて8カ国開催だったユーロは、'96年に16カ国、2016年には24カ国に規模が拡大されている。

 アジアカップもユーロと同じ道を辿っている。'04年に8カ国から16カ国に出場枠が倍増され、今年1月開幕の大会では24にまで膨れ上がった。

 商業的観点に立てば理解はできる。しかし、大会のレベルは間違いなく低下する。序盤戦に勝敗の分かり切った試合が増え、総試合数が増えることで強豪国も疲弊していく。それでも名勝負と呼ばれる一戦は生まれるが、試合数が少なければもっとハイレベルな攻防が期待できるのでは、と思うのだ。

剥き出しの獣性がぶつかり合う南米同士の闘い。

 コパ・アメリカも招待国を迎えてきた。'93年大会より北中米カリブ海地区からゲストを迎え、センテナリオと呼ばれた100周年記念の前回は16カ国で開催した。それでも、今回は12カ国へ戻した。ゲストは最小限にとどめて、南米勢による真剣勝負を維持している。

 南米のサッカーは華麗な個人技を連想させるが、そもそも彼らは野性的である。勝つためにはルールブックの隙間を躊躇なく潜り抜ける。VARで確認できても反則にならないような駆け引きが、ピッチ上のあちらこちらで繰り広げられていく。

 食うか、食われるか。剥き出しの獣性がぶつかり合うのが、コパ・アメリカという大会なのである。

あまりにもナイーブだった日本の初戦の負けかた。

 日本でのテストマッチとはまったく異なる表情を見せる南米勢に、東京五輪世代を中心とした日本代表がどこまで対抗できるのか。若い選手が経験を積む機会というムードがチームを包んでいることに、僕は違和感に似た居心地の悪さを覚えていた。

 ああっ、それだけに!

 彼我の実力に経験を加味すれば、負けるのは覚悟しなければならない。

 ただ、負けかたはある。

 6月17日に行われたチリ戦の日本代表は、あまりにもナイーブだった。サッカーというよりスポーツでもっとも問われる原理原則──戦う姿勢で相手を上回ることを、最初から諦めていたかのようだった。

 せっかくブラジルまで来たのだ。コパ・アメリカに出場しているのだ。

 長時間のフライトに耐えたのは、森保監督と選手たちだって同じである。グループリーグだけで終わるのはもったいないし、終わることになったとしても得るものがあってほしい。地球の裏側から日本へ持ち帰るものには、20年ぶりの価値があるのだから。

文=戸塚啓

photograph by Kei Totsuka


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