今のプロ野球が前後期制だったら。意外と差がつく後半戦の勝敗数。

今のプロ野球が前後期制だったら。意外と差がつく後半戦の勝敗数。

 相変わらず古い話をするが、パ・リーグではその昔「2シーズン制」というのを導入していた。当時は130試合制だったが、これを前後期に分けて半期、およそ3カ月でペナントレースを争い、その優勝チーム同士が5試合制のプレーオフを戦い、シーズン優勝チームを決めるというものだ。

 1973年に導入されたが、この年の前期は野村克也監督率いる南海が優勝、後期は実力No.1の阪急が優勝。南海は後期には阪急に1度も勝てなかったから、プレーオフも阪急有利と見られたが、3勝2敗で南海が勝ち抜けた。世間は後期の南海は「死んだふりをしていた」と言ったものだ。野村克也が知将、あるいはタヌキ(失礼!)と言われるようになったのはこのときからだ。

 このシーズン、トータルすると勝率1位は阪急(.616)、2位はロッテ(.588)、南海は3位(.540)だったが、日本シリーズに出場したのは南海だった。なお巨人には歯が立たず、1勝4敗で巨人のV9を達成させてしまった。

パの前後期制は人気が出なかった。

 セよりも人気がなかったパは、2シーズン制で何とか注目を集めようとしたが、パッとしなかった。そして前述した1973年のように、一番強いと見られるチームが日本シリーズに出られないケースもあった。

 なおかつ圧倒的に強いチームが出て前後期を制してしまえば、プレーオフがなくなるのも興ざめだった。事実、1976、78年は阪急が前後期を制し、プレーオフは開催されなかった。パの人気挽回策は不発に終わり、2シーズン制は1982年を最後に打ち切られたのだった。

 しかし、今のペナントレースを「前後期制」で見てみると、面白いことがわかるのだ。一例として。2018年の両リーグのペナントレースを調べてみた。

 現在は143試合制なので、どこで前・後期を分けるか迷う。試合数のばらつきもある。ただ、一般的にはペナントレースはオールスター前後をそれぞれ「前半戦」、「後半戦」という。これをベースにオールスター前後で分けてみよう。

2018年の前半戦はどうだったか。

 以下は2018年オールスター前のセ・パ両リーグの順位だ。

<セ・リーグ>
1広島 76試43勝32敗1分 率.573 差--
2巨人 82試40勝41敗1分 率.494 差6.0
3阪神 74試35勝38敗1分 率.479 差7.0
4DeNA 78試36勝40敗2分 率.474 差7.5
5中日 81試37勝43敗1分 率.463 差8.5
6ヤクルト 77試34勝42敗1分 率.447 差9.5

<パ・リーグ>
1西武 78試46勝31敗1分 率.597 差--
2日本ハム 79試44勝34敗1分 率.564 差2.5
3ソフトバンク 76試39勝37敗0分 率.5131 差6.5
3オリックス 80試39勝37敗4分 率.5131 差6.5
5ロッテ 80試40勝38敗2分 率.5128 差6.5
6楽天 79試29勝49敗1分 率.372 差17.5

 わずか1年前だが、多くの人は去年のこの時期のペナントレースなどもう記憶にないだろう。

セは広島が独走、パは混戦模様。

 セ・リーグは広島が独走状態。2位以下は交流戦で劣勢だったこともあり5割を切っていたが、2位巨人から最下位ヤクルトまでは3.5差と、混戦模様だった。

 対照的にパ・リーグは5位までが5割以上をキープしていた。西武が菊池雄星(現マリナーズ)、山川穂高の活躍で首位、2位に日本ハムがつけていた。

 ソフトバンクはクローザーのサファテが離脱するなど故障者も多くオリックス、ロッテとゲーム差なしの中位に低迷。そして同じくクローザーの松井裕樹が不振に陥った楽天が1人負けの様相だった。

昨年のセ後半戦はヤクルトが1位!?

 その状況を踏まえて、2018年後半戦だけの順位表を作るとこうなる。

<セ・リーグ>
1ヤクルト 66試41勝24敗1分 率.631 差--
2広島 67試39勝27敗1分 率.591 差2.5
3DeNA 65試31勝34敗0分 率.477 差10.0
4巨人 61試27勝30敗4分 率.474 差10.0
5中日 62試26勝35敗1分 率.426 差13.0
6阪神 69試27勝41敗1分 率.397 差15.5

<パ・リーグ>
1西武 65試42勝22敗1分 率.656 差--
2ソフトバンク 67試43勝23敗1分 率.652 差0.0
3日本ハム 64試30勝32敗2分 率.484 差11.0
4楽天 64試29勝33敗2分 率.468 差12.0
5オリックス 63試26勝36敗1分 率.419 差15.0
6ロッテ 63試19勝43敗1分 率.306 差22.0

 セ・リーグでは何と、ヤクルトが勝率6割超で1位だったのだ。広島も6割近い勝率だったが、2シーズン制なら後期はヤクルトが優勝していることになる。なお他の4球団は負け越し。3位はDeNAと巨人の競り合いになった。最下位の阪神は降雨中止が多かったために、後半戦は巨人よりも8試合も試合数が多かった。

西武は“前後期制覇”、ロッテは……。

 一方、パ・リーグは西武が相変わらず強かったが、ソフトバンクが息を吹き返している。この2チームが6割台の勝率を誇った。後期も僅差で西武が首位をキープしており、前後期両方を制していたことになる。

 残り4球団が負け越し。ロッテは3割を少し超えるほどという惨状だった。

シーズン最終成績を見てみると。

 なお以下が、2018年の最終成績である。

<セ・リーグ>
1広島 143試82勝59敗2分 率.582 差--
2ヤクルト 143試75勝66敗2分 率.532 差7.0
3巨人 143試67勝71敗5分 率.486 差13.5
4DeNA 143試67勝74敗2分 率.475 差15.0
5中日 143試63勝78敗2分 率.447 差19.0
6阪神 143試62勝79敗2分 率.440 差20.0

<パ・リーグ>
1西武 143試88勝53敗2分 率.624差--
2ソフトバンク 143試82勝60敗1分 率.577差6.5
3日本ハム 143試74勝66敗3分 率.529差13.5
4オリックス 143試65勝73敗5分 率.471差21.5
5ロッテ 143試59勝81敗3分 率.421差28.5
6楽天 143試58勝82敗3分 率.414差29.5

ヤクルトの猛反撃と阪神の失速。

 セ・リーグでは猛反撃したヤクルトが2位に浮上した。そして巨人はナインが辞任を表明した高橋由伸監督をクライマックスシリーズに連れていこう、と奮起して3位に滑り込んだ。逆にシーズン終盤に過密日程となった阪神は、シーズン通じても最下位に転落してしまった。

 パ・リーグではソフトバンクが抜け出して2位に食い込んだ。その勢いを駆ってクライマックスシリーズで西武を下し、日本シリーズに進出して広島を破り日本一になるのだ。

 長いペナントレース、どんな強いチームでも調子を落とすことがあるし、不振のチームでも息を吹き返すことがある。シーズンを前後半に分けると、一味違ったドラマが見えるのだ。

2019年前半戦の勝敗表は……。

 プロ野球の成績は日々アップデートされる。シーズン途中での数字は、そこでデータを捕捉しておかなければ、後からは追いかけにくくなるものだ。今シーズンの後半戦が始まったのは7月15日、その試合前時点での両リーグ順位表をここに記しておこう。

<セ・リーグ>
1巨人 80試48勝31敗1分 率.608 差--
2DeNA 82試39勝41敗2分 率.488 差9.5
2阪神 84試39勝41敗4分 率.488 差9.5
4広島 84試38勝43敗3分 率.469 差11.0
5中日 80試37勝43敗0分 率.463 差11.5
6ヤクルト 84試34勝48敗2分 率.415 差15.5

<パ・リーグ>
1ソフトバンク 84試48勝32敗4分 率.600 差--
2日本ハム 84試41勝39敗4分 率.513 差7.0
3西武 82試41勝40敗1分 率.506 差7.5
4楽天 82試40勝40敗2分 率.500 差8.0
5ロッテ 81試39勝40敗2分 率.494 差8.5
6オリックス 83試36勝42敗5分 率.462 差11.0

 前半戦終了時点ではセ・リーグが巨人、パ・リーグはソフトバンクが地力を見せた。

 どちらもシーズンの趨勢は決しつつあるようだったが、まだここからドラマは起こり得る。「死んだふり」をしているチームがあるかもしれないし、独走状態に見えた巨人やソフトバンクだってここからつまずくことだって十分にある。現に21日終了時点で巨人と2位・DeNAは7差、そしてソフトバンクと2位・日本ハムは3ゲーム差にまで詰まってきている。

 今年の“後期優勝”はどのチームになるだろうか? そしてペナントレースはどんな決着を迎えるだろうか? 注目していきたい。

文=広尾晃

photograph by Naoya Sanuki


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