久保建英はW杯予選に呼べるのか。レアルでの競争と、代表での優先度。

久保建英はW杯予選に呼べるのか。レアルでの競争と、代表での優先度。

 2022年のカタールW杯へのサバイバルが、いよいよ輪郭を帯びた。9月開幕のアジア2次予選の組み合わせが決まったのである。

 2次予選は40の国と地域を8つのグループに分け、ホーム&アウェイで争われる。各グループの1位に加えて2位のなかで成績上位の4チームが、最終予選へ進出する。

 アジア2次予選は2023年のアジアカップ予選を兼ねているため、W杯開催国のカタールも参加している。この現アジアカップ王者がグループ首位か2位の成績上位4チームに入ると、2位チームで成績上位の5番目のチームが繰り上げられる。いずれにしても、日本には無関係だろう。

西野監督、吉田監督、本田の挑戦。

 ポットと呼ばれるシード分けは6月時点のFIFAランキングに基づいており、日本はイラン、韓国、オーストラリア、サウジアラビアらとともに第1ポットに入った。この段階では“死のグループ”は生まれないものの、前回の最終予選を戦ったチームが同居するグループもある。

 中国とシリアのグループA、イランとイラクのグループC、サウジアラビアとウズベキスタンのグループD、UAEとタイのグループGは、首位争いが白熱しそうだ。

 グループGには今冬のアジアカップで8強入りしたベトナムも同居している。タイを率いることになった西野朗監督は、短い助走期間でタフな戦いに挑むこととなる。

 本田圭佑が実質的な監督を務めるカンボジアは、イランのグループCに入った。柏レイソルやヴァンフォーレ甲府で采配をふるった吉田達磨監督が統べるシンガポールは、サウジアラビアのグループDである。グループ内のパワーバランスでは、どちらも最終予選進出が難しい立場と言える。

日本にとって悪くない日程と相手。

 その中で日本は組み合わせに恵まれた。キルギス、タジキスタン、ミャンマー、モンゴルは、すべて明確な格下である。

 スケジュールも悪くない。9月5日のマッチデイ1をスキップしてパラグアイとテストマッチを行なうことで、6月以来の活動がいきなり公式戦になることを回避した。マッチデイ2で対戦するミャンマーを、マッチデイ1でスカウティングすることもできる。

 また、来年6月のラスト2試合をホーム開催としたことは、順位確定がこのタイミングまでもつれた場合に意味を持つ。スケジュール的にもしっかりしたバックアップ体制を整えた。

 日本にとってはなじみの薄い国ばかりで、アウェイでの対戦は蓄積された経験が少ない。とはいえ、日本サッカー協会の指導者海外派遣プログラムで、ミャンマーで2018年5月からアカデミー監督を、タジキスタンで今年2月からU-17代表アシスタントコーチを、それぞれ日本人指導者が務めている。

 モンゴルでも今年2月からU-16・U-19女子代表監督を、日本人の女性指導者が担当している。移動手段の煩雑さや気候などが過酷と言われるが、彼らを介して現地での受け入れ態勢を充実させることはできるだろう。

森保監督はどうチームを編成するか。

 さて、日本代表の森保一監督は、どのようなチームを編成していくのだろうか。

 国際AマッチがW杯予選でほぼ埋められていく現状を考えると、その時々でベストの布陣を編成しながらチームを磨き上げていくのがベターだ。一方で、彼我の力関係を踏まえればチームの底上げを同時進行で求めることもできる。

 所属クラブで定位置をつかみ切れていない海外組がいれば、クラブでの活動に集中してもらうために部分的に招集を見送ってもいい。その代わりに、コパ・アメリカでアピールをした東京五輪世代を随時招集していくのである。

 久保建英は招集するべきだろう。

 コパ・アメリカでのパフォーマンスは、代表定着への足がかりとなるものだった。潜在能力を出し切った末の高評価ではなく、余白を残しながらプレーしている印象がある。

気になるのはレアルでの日程。

 2列目の右サイドなら堂安律と、トップ下なら南野拓実とスタメンを争うが、現時点でもスタメンで起用していいのでは、と思わせるほどだ。試合を重ねることでコンビネーションが深まれば、彼もチームメイトもさらに高いレベルへ到達していく期待を抱かせる。

 気になるのはクラブのスケジュールだ。

 来たる2019−20シーズンをレアル・マドリード・カスティージャ(以下RMC)で迎えたとすると、8月25日に実質3部相当の2部Bのリーグ戦が開幕し、その後は12月下旬まで毎週末にきっちりとリーグ戦が組まれている。FIFAの国際Aマッチデイによる中断はない。

リーグ戦序盤での代表離脱となる。

 元スペイン代表でクラブのレジェンドでもあるラウール・ゴンサレスが率いるチームで、加入1年目の久保はポジションを争う立場だ。序列が固まっていないシーズン開幕当初は、代表招集による離脱がマイナスに働いてしまうとも考えられる。

 セカンドチームのRMCではなく、U-19のフベニールAに登録されたとも報じられている。それでも、代表招集となればリーグ戦期間中にチームを離れることになる。

 スペイン1部のクラブへとレンタル移籍することになれば、国際Aマッチデイの期間中はリーグ戦が中断されるので、代表合流への物理的な支障はない。一方、2部のクラブへ貸し出された場合は、RMCとほぼ同じスケジュールを消化していくことになる。

 久保はトップチームの北米ツアーに参加しており、7月21日から予定されるバイエルン・ミュンヘン、アーセナル、アトレティコ・マドリードとの親善試合でデビューを飾る見込みだ。ここでのプレーによって、新シーズン開幕をどこで迎えるのかがはっきりしてくるだろう。

W杯予選は万全の陣容でいきたい。

 ヨーロッパのクラブへ移籍したばかりの選手の招集は、森保監督も慎重に判断するはずだ。今冬のアジアカップに昌子源が招集されなかったのも、鹿島アントラーズからトゥールーズへ移籍するタイミングだったことは無関係でない。

 ただ、今回はW杯予選である。取りこぼしのできない試合が続く。力の差は歴然としていても、チームを率いる者なら万全のチーム編成で戦いたいと考えるだろう。

 アルベルト・ザッケローニも、ヴァイッド・ハリルホジッチも、W杯予選には試験的な要素を持ち込まなかったものだ。次ラウンド進出やW杯出場が決まるまでは、格下相手にも主力を投入していった。

 長距離移動と時差に直面する海外組がコンディション調整に苦しんでも、試合を通したチーム力の維持と向上に力点を置いた。

 新天地での久保の状況を見極め、それでも森保監督がこの18歳を招集したら――。我々の期待値と同じように指揮官のなかでも、久保は代表に欠かせない選手ということになる。

文=戸塚啓

photograph by Getty Images


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