ヒョードル出場に2大タイトル戦。年末格闘技は“歴史と正攻法”に期待!

ヒョードル出場に2大タイトル戦。年末格闘技は“歴史と正攻法”に期待!

 毎年恒例、年末格闘技イベントのマッチメイクが決まり始めた。さいたまスーパーアリーナを舞台に、今年は2年ぶりに12月29日、31日の2大会開催となる。

 29日に行なわれるのは、アメリカのメジャー団体「ベラトール」の日本大会。RIZINが協力しての開催で、10月9日の記者会見ではエメリヤーエンコ・ヒョードルvs.クイントン“ランペイジ”ジャクソン戦が両選手出席のもとで発表された。

 ベラトールはパラマウント映画、MTVなども属するメディアグループ「バイアコム」傘下の団体。マディソン・スクエア・ガーデンでのニューヨーク大会を成功させたほかヨーロッパにも積極的に進出している。この日本大会も、いわば“世界戦略”の一環だ。

 とはいえ、ヒョードルとジャクソン、それにスコット・コーカー代表にとっては単なる1大会以上の意味があるはずだ。

 ヒョードルとジャクソンは日本マットで出世したファイター。会見では「また日本で試合することができるのが本当に嬉しい」と口を揃えた。ヒョードル曰く「母国ロシアでは、私が日本で年を越すのが伝統のように思われています」。

ヒョードルvs.ジャクソンは「日本でやるべきカード」

 コーカー氏は、かつてK-1アメリカ大会の運営にも携わっていた人物で、ストライクフォース代表時代にも日本のDREAMと組み、青木真也や川尻達也といった日本人選手をケージに招き入れた。それだけに日本大会実現の感慨もひとしおだ。

「社内で意見交換をする際、私はヒョードルvs.ジャクソンを日本でやろうと主張しました。これは日本でやるべきカードですから」

 ベラトールはヒョードルと新たに3試合契約を締結。ヒョードル引退ツアーとして、今回の日本に続きヨーロッパ、そしてモスクワでの試合をプランしているという。この3年、ヒョードルの戦績は3勝2敗。1月にはライアン・ベイダーに秒殺KO負けを喫してもいる。友人でもあるというジャクソンとのベテラン対決は、ある種の“湿っぽさ”をともなう試合になりそうだ。RIZIN榊原信行CEOは、かつてPRIDEに夢中になった人たちにも見てほしいとアピールした。

「RIZINのトップ選手をベラトールのケージに」

 29日のベラトール、大晦日のRIZIN両大会で、2団体の対抗戦も実施される予定だ。

 出場メンバーについては「RIZINのトップ選手を、あえてベラトールのケージに入れたい」と榊原CEO。6月のニューヨーク大会には堀口恭司とRENAを派遣したが、今回は日本にいながら、選手たちを“世界デビュー”させようというわけだ。

 キックボクシングの試合も行なうイベントだけに、ベラトールは那須川天心にも(当然ながら)興味があるようだ。加えて榊原CEOは「天心以外のキックボクサーもベラトールから世界進出のチャンスが広がる」と言う。

堀口とのリマッチ前に朝倉が戦慄のアピール!

 10月12日には、台風19号が接近する中でエディオンアリーナ大阪大会が開催された。この大会の結果を受け、大晦日のカードとして正式にアナウンスされたのが、堀口恭司vs.朝倉海。8月大会におけるスーパー・アップセットの再戦である。

 下馬評を覆してRIZIN、ベラトール2冠王の堀口をノックアウトした朝倉は、10.12大阪では佐々木憂流迦を下している。負傷ストップ、それもパンチで相手のアゴを2カ所骨折させるという凄まじい勝ちっぷり。佐々木戦を挟んだことで、朝倉は“世紀のリマッチ”のバリューをさらに上げてみせた。

 試合後にリングインした堀口は朝倉にRIZINバンタム級のベルトを預けて「一回負けてるからベルトはいらない。(次回、自分で)獲りにいきます」。UFCを離れ、RIZINの“格”そのものを高めてきたワールドクラスが、痛恨の敗北を経てどう変わるのか。ドラマ性に勝負の重み、展開予想の難しさ、すべてが最高レベルの一戦だ。

 浜崎朱加が持つ女子スーパーアトム級タイトルへの挑戦者は、韓国のハム・ソヒとなった。大阪大会での挑戦者決定戦、ハムは連勝中だった山本美優のタックルを封じ、パウンドを浴びせてレフェリーストップで勝利。文句なしの実力を見せつけている。

年末を格闘技のシーズンピークに。

 ハムと浜崎が対戦するのは、これが3度目。過去2試合は浜崎が勝利している。2010年と2011年のことで、舞台は日本の女子格闘技イベントJEWELS(現DEEP JEWELS)だった。

 観客数百人という規模の大会で成長し、浜崎はアメリカのインヴィクタFC、ハムはUFCで名を上げて再び日本を主戦場とした。“再会”の場は大晦日のさいたまスーパーアリーナ。頂上決戦は、女子格闘技を長く見てきた者にとっての“ご褒美”のような顔合わせと言っていい。

 日本マットの歴史を感じさせるヒョードルvs.ジャクソン。歴史の背景があり、同時に現在進行形のトップ対決でもある浜崎vs.ハム。堀口vs.朝倉は来年以降の覇権をかけての闘いになる。加えて1回戦すべて外国人選手が勝利したライト級GPとRIZIN対ベラトールの対抗戦。それが年末の軸であり、マッチメイクは言ってみれば“正攻法”である。現在、出場が決まっている選手たちは実力者であり、個性的で、その背景にストーリー性もある。

 もちろん年末だから“隠し玉”、“飛び道具”が気になるという人もいるはずだ。“話題性要員”の出場を批判しつつ、地上波中継の視聴率も気にしてしまうというのがファン心理というもの。といって「堀口や朝倉、浜崎では地味すぎる」などと言うファンはいないだろう。

 かつて、大晦日の大会には普段とは違う“お祭り”という面があった。だがRIZINは年末を「格闘技のシーズンピーク」と位置付けているという。つまり1年の集大成。そのコンセプトにふさわしい形での“世間との勝負”に期待している。

文=橋本宗洋

photograph by Susumu Nagao


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