これまで、現3歳世代のGIは5戦行われ、すべて「無敗馬」が制している。

 11週目の無観客競馬として行われる今週の第25回NHKマイルカップ(5月10日、東京芝1600m、3歳GI)にも、無敗の有力馬2頭が出走してくる。

 昨年の阪神ジュベナイルフィリーズ(レシステンシア)、朝日杯フューチュリティステークス(サリオス)、ホープフルステークス(コントレイル)、今年の桜花賞(デアリングタクト)、そして皐月賞(コントレイル)。どれも無敗馬が強烈なインパクトを残して頂点に立ってきた。

 桜花賞と皐月賞が終わった時点で、その世代のGIすべてを無敗馬が勝ったのは、1984年のグレード制導入以降、もちろん初めてのことだ。

 今年のNHKマイルカップで、「無敗の優勝馬リレー」のバトンをつなぐチャンスのある馬は、前述のように2頭いる。

サトノインプレッサは力を秘めている。

 その1頭で、底知れぬスケールを感じさせるのが、3戦3勝のサトノインプレッサ(牡、父ディープインパクト、栗東・矢作芳人厩舎)である。

 母のサプレザは、英GIサンチャリオットステークスを3連覇し、日本のマイルチャンピオンシップに3年連続出走して3、4、3着となった名マイラーだった。

 その4番仔のサトノインプレッサも、過去3戦のうち2戦はマイル戦だった。

 京都芝内回り1600mの新馬戦は半馬身差、同じコースで行われた2戦目のこぶし賞は首差、阪神芝外回り1600mで行われた前走の毎日杯は3/4馬身差と、すべて小差だが、着差以上の力差を感じさせるレースばかりだった。

 新馬戦とこぶし賞は重、毎日杯は稍重と、3戦とも道悪だった。それに関して矢作調教師は、「首の低いあの走り方で、道悪が上手なわけがない」と話している。つまり、条件が合わない舞台設定でありながら、勝ちつづけてきたのだ。

 テン乗りの武豊を背に迎えた毎日杯では、直線で進路が狭くなる局面がありながら、怯むことなく間を割って突き抜けた。

僚馬のコントレイルに続くか。

 過去にNHKマイルカップに出走した毎日杯優勝馬は6頭いるのだが、何と、そのうち5頭(タイキフォーチュン、クロフネ、キングカメハメハ、ディープスカイ、ダノンシャンティ)がここも勝っているのだ。

 武は、1997年シーキングザパール、2001年クロフネ、'06年ロジックで3勝しており、勝てば単独トップの4勝となる。

 良馬場でのレース経験がないだけに、時計勝負になると未知数の部分もあるが、むしろパフォーマンスが上がるのではないか。

 外から2番目の17番枠を引いたが、ゲートから最初のコーナーまで長い向正面を走るので枠は関係ない。昨年の勝ち馬アドマイヤマーズも17番、2着のケイデンスコールは18番からのスタートだった。

 僚馬コントレイルにつづく、無敗のGI馬になる可能性はかなり高そうだ。

ルフトシュトロームは3戦とも完勝。

 もう1頭の無敗馬は、これも3戦3勝のルフトシュトローム(牡、父キンシャサノキセキ、美浦・堀宣行厩舎)である。

 こちらも3代母がディープインパクトの母でもあるウインドインハーヘアという良血だ。過去3戦はすべて中山のマイルで、すべて完勝。

 前走のニュージーランドトロフィーは、4コーナー出口で外に振られながらも、外のウイングレイテストと併せ馬の形で豪快に伸び、内のシーズンズギフトをきっちり差し切った。

 サトノインプレッサもそうだが、過去3戦とも上がり3ハロンはメンバー中最速で、どこからでも競馬ができる。

 鞍上にはオーストラリアの名手ダミアン・レーンを確保した。

 お気づきの方も多いだろうが、サトノインプレッサvs.ルフトシュトロームの対決は、コントレイルvs.サリオスの無敗馬対決となった皐月賞と同じく、矢作厩舎vs.堀厩舎のトップステーブル対決でもあるのだ。

 軍配はどちらに上がるのか。

 無観客で行われるのがつくづくもったいないと思う面白さだ。

無敗ではないがレシステンシアも。

 ここで印を。

◎サトノインプレッサ
○ルフトシュトローム
▲レシステンシア

 この◎には、サトノインプレッサが無敗のままダービーに駒を進め、コントレイルと「無敗の僚馬対決」をしてほしい、という願望もこめられている。

 1番人気になるのは、昨年の2歳女王で、桜花賞で2着に惜敗したレシステンシアかもしれない。鞍上はクリストフ・ルメール。同じダイワメジャー産駒の2歳女王で、桜花賞で敗れながらNHKマイルカップを勝ったメジャーエンブレムとイメージが重なる。

 いずれにしても、ハイレベルな戦いが期待できそうだ。

文=島田明宏

photograph by Yuji Takahashi