<2020年のJ1リーグが7月4日にいよいよ第2節から再開される。各クラブのファン・サポーター以外も注目するタイミングということもあり、見どころを福西崇史氏に聞いた。まずはこれまでと全く違う日程で行なわれる影響について、こう展望している。>

 いよいよJ1が再開しますね。日常にサッカーが戻ってくることが本当に楽しみな一方で、今シーズンはどのクラブが優勝争いに食い込んできても全く不思議ではない戦いになると思います。

 4カ月余りの中断期間があっての再開ということで、中2日、中3日の試合が続きます。なおかつ気温の高い夏場です。ドイツのブンデスリーガなどでも再開直後にケガ人が出たことから、コンディショニングを整えるのがとても難しいことが分かってもらえると思います。主力選手の負傷離脱などでチーム力が大きく変わる可能性がある。選手交代枠も5人となる中でどの選手やクラブが力を発揮できるかが、キーポイントとなるでしょうね。

オルンガだけじゃないレイソル。

<文字通りこれまでとは違うJ1になるわけだが、2月に開催された第1節を“おさらい”しつつ、再開節においての注目選手やクラブを聞いた。福西氏は3つのクラブと選手を挙げてくれた。柏レイソルとFWオルンガ、川崎フロンターレとMF田中碧、サンフレッチェ広島とMF川辺駿だ。まずは開幕戦を4−2と大勝した柏レイソルから。>

 テレビのリモート取材で各クラブの主力である江坂(任)、家長(昭博)、青山(敏弘)の3人に話を聞きました。彼らの意気込みが伝わったとともに、そのほかの選手にも注目しています。

 今シーズンからJ1に復帰したレイソル。その注目点は「オルンガはJ1でも通用するのか」です。2019年はJ2で圧倒的な能力を見せていたオルンガは、開幕節のコンサドーレ戦でも2ゴールを決めて、前線の起点にもなっていました。

 高さ(193cm)、スピード、ストライドの長さはJ1でも十分に通用することを見せつけてますし、コンサドーレ戦のようなクオリティを毎試合のように出してくれば対戦相手としては要警戒でしょう。

 ただレイソルの攻撃陣はオルンガさえ抑えればなんとかなる、というわけではない。むしろオルンガとクリスティアーノ、江坂が絡んだ攻撃力に注目してほしいですね。力強さと巧さの両方を持つクリスティアーノに、コンサドーレ戦で2ゴール1アシストをマークした江坂も技術と判断力に優れている。この3人を中心とした攻撃は、再開後もかなりの迫力を見せると思います。

 一方で守備陣は新加入選手が多く(GKキム・スンギュ、DF高橋祐治、北爪健吾、大南拓磨)、どれだけ中断期間のトレーニングでチームのやり方に馴染んだか。そしてその選手たちをネルシーニョ監督がどう起用していくのかも、とても楽しみですね。

 再開節の対戦相手は昨シーズン2位のFC東京。ここでいい内容の試合ができれば、一気に勢いに乗る可能性もあります。

田中碧がレベルアップするには?

<続いては川崎フロンターレ、そして田中碧だ。開幕節こそサガン鳥栖と0−0のドローに終わったものの、昨シーズンのJリーグベストヤングプレーヤー賞に輝くなど進境著しい田中碧は、今季は鬼木達監督の下で新たなチャレンジに取り組んでいる。>

 フロンターレは今シーズン、システムを4-3-3に変更しました。田中碧は中盤3枚の底、いわゆるアンカーを務めます。この新たなポジションでどれだけできるか、期待して見ていきたい。

 どのポジションも実力ある選手がそろっていますが、特に前線と中盤は豊富。(中村)憲剛と小林悠がケガをしているとはいえ、スリートップはセンターフォワードにレアンドロ・ダミアン、サイドだと家長、長谷川(竜也)、齋藤(学)、旗手(怜央)、三笘(薫)。そして中盤は大島(僚太)、脇坂(泰斗)、守田(英正)、と誰が出ても高いレベルの選手たちです。

 そんな彼らが生きるかどうかは、中盤の深い位置でゲームをコントロールする田中碧の力にかかっていると個人的には考えていますし、彼のパスセンスや視野の広さがあれば、十分にその役割を果たせるはず。

 そして田中碧はゲームメーク力だけでなく、相手からのボール奪取など、ここ数年で守備でもレベルアップしています。アンカーを任される中で相手の選択肢や攻める方向を限定するなど、「周囲を動かしながら守る方法」を覚えたら、さらにレベルアップするでしょうね。

川辺駿の前に出る姿勢に期待。

<そして最後に触れるのは、サンフレッチェ。注目するのは青山と中盤でコンビを組む川辺だ。開幕戦では鹿島アントラーズ相手に3−0の勝利。その内容の良さを踏まえて期待を寄せている。>

 城福(浩)監督が率いるサンフレッチェは開幕戦を見る限り、今シーズンもチーム全体の戦術理解度が高いなと感じました。

 ボールを握ってしっかりと組み立てていく状況を作ったかと思えば、ショートカウンターを狙いに行く局面を使い分けて、城福監督の描いているイメージを選手たちが表現できていた。その開幕戦でうまくいったことを中断期間でもトレーニングで磨けているかどうか。

 その中で川辺は青山とコンビを組みます。全体をコントロールする青山の経験値にプラスして川辺が攻撃に出ていけたら、チームにさらなる厚みが出る。守備と攻撃の比重に関わってくるので、注目したいところですね。

 また広島など地方クラブの場合は比較的早い段階でグループでのトレーニングが再開されるなど、コンディションが関東圏のクラブより上がりやすかったかもしれません。そういった部分も今後どうなるかも見ていきたいですね。

「リモートマッチ」の魅力を楽しんで。

 7月4日と8日の試合は「リモートマッチ」になり、スタジアムに来てくれるサポーターの方たちも映像での観戦になるかと思います。いつもとは違う試合の雰囲気ですが、ようやくサッカーを見られる喜びがあるはず。

 また観客がいないことで、ピッチ内での指示の声や、選手同士が激しくぶつかり合う音、ボールをしっかりとらえたキックの音が聞こえてくる。選手たちはどんなことを考え、どんな思いをもってプレーをしているのか、ぜひ楽しんでもらいたいですね。

 そして家で観戦する人たちも思わず声が出てしまうような好ゲームの連続を期待しています。

(構成・茂野聡士)

文=福西崇史

photograph by J.LEAGUE