ビジャレアル久保建英の独占インタビューに成功したNumber1011号「久保建英、リーガをゆく。」――そのなかから元『週刊サッカーマガジン』編集長・北條聡氏による『2022年の白い巨人を妄想する』を特別に掲載する。

 今夏はすっかり鳴りを潜めたマドリー得意の大補強。かつての銀河系がそれじゃ寂しい、というわけで、会長になりかわり、近未来の編成を勝手に大予想――。

 手前勝手に選んでおいて言い訳するのも何だが、随分とインパクトの薄いイレブンだ。妄想の翼をへし折るような現実を丸呑みしてしまったからである。

 とにかく堅い。財布の紐が……。ペレス帝国の漁法は一本釣りだ。それも年に一度がお約束。一夜にして、銀河系再興とはいかない。そんなわけで総取っ替えの欲望を抑え、釣り上げる獲物を吟味し、それぞれをイレブンの一角に放り込んでみた。

ベンゼマ、クロース、セルヒオ・ラモスの後継者とは?

 その妄想御三家がムバッペ、キミッヒ、ウパメカノだ。伝統の大艦巨砲主義にならえばハーランドやグリーンウッドあたりに触手が伸びるが、それよりも銀河系の再興にふさわしい当世風の頭脳(キミッヒ)と最後方で攻守の要となる万能の怪物(ウパメカノ)が欲しかった。

 これでベンゼマ、クロース、セルヒオ・ラモスの跡目問題に終止符を打つ。いや、セルヒオ・ラモスだけは外せない。激しい闘志でカピタン(主将)の任をまっとうしてきたマドリーの魂だ。この男の後継者、クラブの象徴たりうるスペイン人がどうにも浮かばぬ今日この頃……。

 カルバハル? いやいやいや。ただし、右サイドバックとしては優秀だ。左の猛牛メンディとまだまだ暴れてもらおう。中盤に君臨する皇帝キミッヒの相方には、よく走り、よくファイトするB2B(ボックス・トゥ・ボックス)のバルベルデを。プレス回避の安全弁として物足りないカゼミーロは……お役御免である。

久保のポジションは……

 で、残った枠は4つ。その選択は近年のマドリーが試みてきた錬金術の大成功というストーリーでゴリ押しだ。せっせと青田買いしてきた逸材たちの立身出世である。

 噂のビッグセーバーであるルニンを新しい守護神に据えて、クルトワを控えに回すことにも迷いはない。

 最大の目玉は金髪の天才児ウーデゴールだ。昨季はリーガ初挑戦ながら洗練された崩しのパスや仕掛けの妙など、才気あふれる立ち回りで、大ブレイク間近を強く印象づけた。伝説のディステファノから連綿と続く「ブロンド神話」の新キャストとして巨砲ムバッペと最強のタンデムを組む。

 ただ、新しい銀河系のスケールの大小を決めるのはムバッペの脇を固める両翼だ。

 左のビニシウスと右の久保である。そう、我らが久保である。もはや妄想というより願望だが。バルセロナで育った少年がやがて銀河系の一翼を担い、古巣に敢然と牙をむく禁断のドラマ、見たいでしょ。

 ともあれ、この妄想イレブンならビルドアップでヘマなんかしない。プレスだってガンガンかける。彼らを馬車馬のように働かせる器をもったカリスマ(ジダン監督)が手綱を取るからだ。もっとも、肝心のジダンがこんな組み合わせや起用法を選択するとは、とうてい思えないが……。

文=北條聡

photograph by AFLO