「2020ひとりドラフト予想」の第3回は、楽天、阪神、ロッテ編。各球団、どのような構想でどんな選手の名前を挙げてくるのだろうか。なお中日・ホークス・巨人の全指名選手も最後に記しています。合わせてお楽しみください(全3回の3回目/#1、#2へ)。

「投手の駒不足」楽天の“外れ1位”は……?

〔楽天 2020年ひとりドラフト指名選手〕

外れ 投手 高橋宏斗(中京大中京高) 184cm80kg 右投右打
1位 投手 木澤尚文(慶應大) 183cm78kg 右投右打
2位 捕手 栄枝裕貴(立命館大) 180cm82kg 右投右打
3位 投手 松本竜也(ホンダ鈴鹿)21歳 177cm85kg 右投右打
4位 遊撃手 入江大樹(仙台育英) 185cm84kg 右投右打
5位 投手 永水豪(BC石川)24歳 180cm88kg 右投右打
6位 投手 鈴木駿輔(BC福島)22歳 184cm84kg 右投右打
7位 投手 宇田川優希(仙台大) 184cm95kg 右投右打

〔楽天 総評〕

 10月21日のオリックス戦、5対5の同点で迎えた9回、楽天は松井裕樹をマウンドに送った。

 今季は、先発ローテーションでここまで奮投してきた。その松井を「守護神」として投入してきたから驚いた。結果、伏兵・大城滉二にV弾を食らって敗戦投手に。もし、結果がよかったとしても、それでよいということじゃないだろう。 楽天投手陣の駒不足が、そこまで逼迫しているということだ。

 実力者・早川隆久(早稲田大)の重複指名はリスクが大きい。ならば、せいぜい中日との「2分の1」、1年鍛えれば2年目からローテーションも期待できる大器・高橋宏斗(中京大中京高)に。しかしその「2分の1」を落としてしまったのだからツイてない。

 それでも、再入札で再重複が心配だった1位・木澤尚文(慶應義塾大)を確保できたのだから、今年の楽天、まだ首の皮一枚「持っている」。

「MAX155キロ」……大きな数字のため、そこで語られがちだが、木澤の本来の持ち味はゾーンの低さとカットボールの切れ味だ。アベレージ140キロ後半の速球をベルトより低いゾーンに集め、同じ球道からカットをタテに横に鋭く動かす。カーブ、フォークも操れて、先発としても期待している。

アマチュアNo.1捕手を2位で

「捕手」は2年目・太田光を抜擢して、使いながら育てる路線で本人も健闘していたが、無念にも左肩のケガで戦線離脱。石原彪、下妻貴寛が穴を埋めようとしているが、放置はできない。

 ディフェンスについてはアマチュアNo.1捕手・栄枝裕貴(立命館大)を2位で抑えたのは、楽天ドラフトの「ハイライト」になるのでは。スローイング能力では、いきなり楽天捕手陣No.1。大学での実戦経験およそ1年にしては、落ち着いた、視野の広い守備ワークを見せる。

 1位木澤と共に、即戦力投手の期待を込めての指名は、3位松本竜也(ホンダ鈴鹿)と5位永木豪(BC石川)。 低めに回転の効いた上質の速球を投げられる松本は、智弁学園当時から先発で多くの実績を残し、永木は140キロ後半の速球と同一の腕の振りからのチェンジアップで、中継ぎの一角の期待がかかる。

 6位鈴木駿輔(BC福島)、7位宇田川優希(仙台大)は「3年後」に期待の投手だ。快足・強肩で身体能力抜群…聖光学院高時は主に外野手だったので、肩もまだ“若い”鈴木。一方の宇田川は、150キロを続けられるエンジンの大きさとフォークに大きな「可能性」を秘める。

「夢」を感じるのが、4位入江大樹(仙台育英)だ。185cmの大型遊撃手だが、打っても守っても、ハンドリングの柔軟性が抜群。下半身のこなしを身につければ、今までの日本球界では見たことのないスケールの大きな遊撃手になれる。

打線の若返りを図る阪神だが、“外れ1位”は…?

〔阪神 2020年ひとりドラフト指名選手〕

外れ 三塁手 佐藤輝明(近畿大) 186cm92kg 右投左打
1位 投手 中森俊介(明石商高) 182cm86kg 右投左打
2位 右翼手 井上朋也(花咲徳栄高) 181cm85kg 右投右打
3位 捕手 萩原哲(創価大) 175cm84kg 右投左打
4位 中堅手 来田涼斗(明石商高) 180cm86kg 右投左打
5位 三塁手 小深田大地(履正社高) 178cm90kg 右投左打
6位 遊撃手 小川龍成(國學院大) 172cm72kg 右投左打
7位 投手 中村亮太(東京農大オホーツク)185cm78kg 右投右打

〔阪神 総評〕

 長くタイガース打線の主軸だった福留孝介、糸井嘉男両外野手、来季は共に40代。福留選手には、早くも「戦力外」との報道もあって、「後継者」にピッタリの近畿大・佐藤輝明内野手獲得は「悲願」とも思われたが、4球団競合の末に破れた。

 ここで、今年の阪神は、サッと切り換えた。実戦力の高さは高校No.1の1位中森俊介(明石商高)なら、そんなに待たなくても一軍投手陣に食い込んで来そうだ。打者を追い込むまでの技術なら一級品。スライダー、チェンジアップにフォークボール…変化球同士の緩急すら繰り出して追い込んだ後に、獲物にウワッ!と襲いかかっていく「牙」を養いたい。

阪神「9人の高校球児たち」

 2位井上朋也(花咲徳栄高)のあとは、4位来田涼斗(明石商高)、5位小深田大地(履正社高)と続けてくる。

 昨年「2019ドラフト」、1位西純矢(創志学園)から始まって5位指名まで、5人連続「甲子園球児」を指名したのを思い出す。

 去年の5人に、今年の4人……9人の若き球児の存在だけでも、阪神の近未来がものすごく楽しみになってきた。

 昨年2位の井上広大(外野手・履正社)が、今季終盤早くも一軍でその「スラッガー」としての片鱗を見せ始めた。今年の2位も外野手・井上朋也。近い将来、「広大・朋也」の井上コンビで「猛虎打線復活」といきたいものだ。

 一軍マスクの梅野隆太郎、坂本誠志郎が30歳近くなり、“そのあと”がちょっと見えにくいところに、3位萩原哲捕手(創価大)の指名は、なんともタイムリーだ。

 バッティングは強打の捕手として鳴らした梅野隆太郎の福岡大当時に匹敵。強肩も兼備して、ライバルたちが見たら、ドキッとするようなレベルの捕手だ。

 今季、ずっと懸念されていた阪神の内野守備力。

 そこに一枚、学生球界のフィールディング名手、小川龍成(国学院大)が加わって、試合終盤のディフェンスが落ち着いてきてくれるとよいが。投手が「打ち取った……」と振り返った打球はまずアウトにできる。プロ好みのプレースタイルだろう。

 北海道の道東・紋別から、無名でもコンスタントに140キロ後半の速球で攻められる本格派の素材で締めた今年の阪神タイガース。7位中村亮太(東京農大オホーツク)は、かつてタイガースの二塁手として活躍し、のちに監督までつとめた中村勝広氏の親戚にあたる。そんな“縁”でも、タイガースとつながっていた。

「早川を外した」ロッテの繰り上げ1位は?

〔千葉ロッテ 2020年ひとりドラフト指名選手〕

外れ 投手 早川隆久(早稲田大) 180cm76kg 左投左打
1位 投手 松本隆之介(横浜高) 187cm84kg 左投左打
2位 遊撃手 中山礼都(中京大中京高) 182cm80kg 右投左打
3位 投手 山野太一(東北福祉大) 172cm77kg 左投左打
4位 投手 根本悠楓(苫小牧中央高) 172cm80kg 左投左打
5位 投手 小木田敦也(TDK)22歳 173cm78kg 右投右打
6位 一塁手 片山勢三(パナソニック)25歳 176cm105kg 右投右打
7位 投手 太田大和(山形中央高) 179cm73kg 左投左打

〔千葉ロッテ 総評〕

 早稲田大・早川隆久、痛恨の抽選落ち。

 地元・千葉が生んだアマチュア球界No.1投手。近年これほど欲しかった選手もいなかったのではないか……だからこそ、異例の「1位表明」だったはずだ。

 ならば、繰り上げ1位は誰で来るのか?

 松本隆之介(横浜高)。高校生で来たから驚いた。2、3年先の左腕エースから、近未来の左腕エースへ。大器であることに違いはない。

獲った、獲った、サウスポー4人

 その先も、いやあ、獲った、獲った、サウスポーをなんと4人。

 慢性的な左腕不足に悩んできたチームだ。今季終盤で、元メジャーリーガーのチェン・ウェインを補強したが、日本人の若手左腕といえば、わずかに、2年目小島和哉、中村稔弥にメドがつきかけているのみ。「いる時」に獲っておきたい。

 手足の長い長身左腕で高校生なら、変化球に決め手がなくて、コントロール不安というのが通り相場だが、松本にはそれがない。持ち球はおそらく5種以上、スライダーとチェンジアップはいつでもストライクが奪えて、スピードも140キロ前半がアベレージ。プロで「勝てる条件」が揃っている。

 小柄な左腕だからリリーフ向きといわれる3位・山野太一(東北福祉大)だが、左腕の財産であるクロスファイアーにスライダーとチェンジアップで「放射線状」の球筋が作れる石川雅規(ヤクルト)タイプ。むしろ、先発で面白い。

 加えて4位根本悠楓(苫小牧中央)、7位太田大和(山形中央)の高校生左腕も獲得。20歳前後の左腕の層が一気に厚くなった。ヒジの使い方が独特でしなやかな腕の振りに将来性を秘める根本に、やはり猛烈な腕の振りを武器に一心に攻め立てる投げっぷりが若々しい太田。全国的には無名かもしれないが、間違いなく「実力者」だ。

「社会人球界のアジャ」

 遊撃手の一角である平沢大河が右ヒジクリーニング手術。そうでなくても、将来のショートストップを託せる若手が見当たらない中で、2位・中山礼都(中京大中京高)はうってつけの人選だったろう。

 今のプロ野球は「打てるショート」の時代。それに見合ったスイングスピードとフィールディングスピードを兼備して、精度アップ次第で“3割”も望める素質の持ち主だ。

 2年連続24弾、「アジャ」の愛称の人気者・井上晴哉だって、ドラフト指名は“5位”だった。

 6位片山勢三(パナソニック)は「社会人球界のアジャ」である。2年目の昨季がもう一つだったから、やや評価を下げているが、逆に、獲るなら今のうちだ。

 逆方向の右中間のいちばん深い所に、さりげなく放り込む柔軟性とパワー。175cm105kgでも、ビックリするような機敏な守備ワークと“俊足”は、まさに「アジャ」以外の何者でもない。

 そのポジションが強い時に「次期」を準備するのが、本当の意味の「補強」であろう。

中日・ソフトバンク・巨人の1位指名は誰?

 都合により、【中日・ソフトバンク・巨人】の3球団は以下、「2020年ひとりドラフト」の予想指名選手を一気に記します。

〔中日 2020年ひとりドラフト指名選手〕

1位 投手 高橋宏斗(中京大中京高) 184cm80kg 右投右打
2位 中堅手 五十幡亮汰(中央大) 172cm70kg 右投左打
3位 投手 今西拓弥(早稲田大) 200cm90kg 左投左打
4位 投手 高田琢登(静岡商高) 177cm77kg 左投左打
5位 遊撃手 中野拓夢(三菱自動車岡崎)24歳 172cm67kg 右投左打
6位 左翼手 西川僚祐(東海大相模高) 186cm94kg 右投右打

〔ソフトバンク 2020年ひとりドラフト指名選手〕

外れ 三塁手 佐藤輝明(近畿大) 186cm92kg 右投左打
1位 投手 山下舜平大(福岡大大濠) 188cm93kg 右投右打
2位 投手 鈴木昭汰(法政大) 175cm80kg 左投左打
3位 遊撃手 元山飛優(東北福祉大) 179cm73kg 右投左打
4位 投手 山本一輝(中京大) 181cm81kg 左投左打
5位 投手 益田武尚(北九州大)175cm80kg 右投右打
6位 投手 川瀬堅斗(大分商高) 182cm83kg 右投右打
7位 三塁手 タイシンガーブランドン大河(東京農大オホーツク) 178cm83kg 右投右打

〔巨人 2020年ひとりドラフト指名選手〕

外れ 三塁手 佐藤輝明(近畿大) 186cm92kg 右投左打
1位 投手 元謙太(中京学院大中京高) 186cm85kg 右投右打
2位 投手 川瀬航作(日本製鉄広畑)23歳 182cm87kg 右投右打
3位 遊撃手 山村崇嘉(東海大相模高) 182cm85kg 右投左打
4位 投手 小郷賢人(東海大) 180cm80kg 右投右打
5位 投手 山崎伊織(東海大) 181cm76kg 右投左打
6位 遊撃手 土田龍空(近江高) 180cm77kg 右投左打
7位 捕手 関本勇輔(履正社) 177cm85kg 右投右打

(ドラフト全指名予想#1【オリ・ヤクルト・日ハム編】、#2【広島・西武・DeNA編】へ)

文=安倍昌彦

photograph by Jiji Press