シャンパンと大聖堂で有名なランス。ここでかつて一般道を閉鎖してグランプリレースが開催されたランス・グー=サーキットがあった。1925年にこのコースが初めてレースに使われ、1938年にフランスグランプリで使用された。公式のレースは1950年から。1972年にバイクのレースで幕を閉じるまで草レースから世界選手権として使用されていた。現在は一般道として残っているほか、スタンドやピットなどもそのまま残されている。

このランスという街で生まれ育った女性ドミニク・コーティ(Dominique Courty)。物心ついたときから車、レース好きだった父親に連れられてレース開催となれば草レースだろうと何だろうとサーキットに訪れたという。廻りの女の子は着せ替え人形やままごとなどに夢中だった頃からフォーミュラーカーのおもちゃが大好きだったちょっと変わった少女時代。彼女はそのまま大人になってしまったのだ。


ランス・グー=サーキットの跡地を疾走するドミニクのXK120。ドライビングの腕もなかなかだ。

ランスでのグランプリレースで特にファンジオに魅了され、交流を持つまでになった。レースのない週末はブロカント(フリーマーケット)に出かけてレースのアイテム、特にランスでのものを探して歩いた。気がつくとそのアイテムはかなりの量になっていた。当時の入場券や、パンレット、スタッフの腕章、当時の雑誌。そして膨大な写真。ランスに関しては最大のコレクターともなっていた。その資料を基に”REIMS, VITESSE CHAMPAGNE ET PASSION”(ランスとスピード、シャンパンと情熱)という1925年から1972年までに開催されたほぼ全部のレースの記録を多くの写真と共に綴った本を出している。


キーホルダーやカーバッジも当時もの。

彼女の家に入るとその階段や廊下には集めたランスでのレースのポスターが飾られそこはもう博物館のようだ。コレクションルームには所狭しと車に関するアイテムが詰め込まれている。特別高価なコレクションではないかもしれないけれど彼女の好きなもので一杯のドミニク・ワールドだ。奥にはそのランスの資料がごっそりと保管されている。飾らない性格のドミニク。たとえば、当時のチケットブックに売れ残ったチケットが連なっているものがあるが、それをおもむろにちぎって「ほら、記念にあげる」とくれてしまう。というか、ちぎってしまうのだ。地下のガレージには彼女の愛車Jaguar XK120のほか、すでに他界してしまったご主人のジャン=ピエールのドライエなどがならぶ。


当時のレースの入場券。貴重な当時もの平気でちぎってくれて仕舞うドミニク。

そのほか、ここランスにある自動車博物館に展示してあるマルティニF3マシンなども彼女のコレクションだ。彼女の車好きはこのランスで2年毎に行われるコンクール・デレガンスの主催をするなど多岐にわたる。この土地に生まれ、このランスのレーシングサーキットともに人生を過ごしてきたドミニク。車への情熱はまだまだ続いているのだ。


地下のガレージに収まるドライエ。