自動車は一般的に走行距離が少ないほうが値段が高い。ただし問題は、乗らないで保管されていた車はメカニカルトラブルが増える傾向があるということ。ポルシェ959の場合はこれが顕著である。アントニー・マクリーンはこの車をできるだけ走らせるようにしている。たとえば年に一度は整備を受けるためにジュネーヴからシュツットガルトの工場まで自走していくという。

「工場ではいつも何台か959が修理を受けているが、皆十分に使われていない車ばかりだ」
 
これはポルシェカーズGBのジョン・マニングの言葉でも裏付けられる。彼はポルシェ本社で、959のサービスのためのトレーニングを積んだたった二人しかいない英国人技術者のうちのひとりだ。「動かさないままにしておくと4WDシステムのオイルポンプのシールがシリンダーの中でスティックしてしまう。それによって漏れが発生し、警告灯が点いて駆動力が伝わらなくなる。これを修理するには部品代だけで6000ポンド以上かかる」と説明する。


 
「エンジンにはマグネシウムも多用されており、電蝕が発生するとたとえばカムカバーのような部品が浸食されてしまう。パーツは高価だが、ポルシェは非常に精密に設計されており、定期的に走行している959は年に一度のメインテナンスを受ければ何も問題ない。点検にかかる費用は2000ポンドぐらいだ」