【大分】大分市の芸術緑丘高の美術科3年生が、サッカー部をテーマにしたポスターやTシャツなどを共同制作した。タイトルは「密だけど、実は密じゃない!」。新型コロナウイルス禍の中、生徒同士が距離を保って作業。一人ずつ撮影したポーズ写真を合成し、集合写真に仕上げるなどした。「離れていてもチーム、が合言葉。今だからこそ新しい表現に挑戦できた」と充実感を味わっている。
 手掛けたのはビジュアルデザイン専攻の14人。感染対策でソーシャルディスタンス(社会的距離)が求められ、仲間と集合写真を撮ることもままならない日常が創作のヒントになった。5月末から3密(密閉、密集、密接)を避けてアイデアを出し合い、作業を分担。2週間かけて一つの作品にまとめ上げた。
 メインは制服姿でサッカー選手のように肩を組み、ポーズを取る生徒の写真。個別に撮影し、授業で学んだデジタル技術を駆使して一枚に合成。等身大サイズにプリントした。他に観戦チケットやタオル、ステッカーなど13作品もデザインした。
 ディレクターを務めた中村日菜子さん(17)は「一人一人が独創的な表現を生み出す作家(サッカー)部をイメージし、作品に統一感が出るよう心掛けた」と話す。
 「未来で待ち合わせしよう」とキャッチコピーを付けたのは木村凜果(りんか)さん(17)。「芸術を志した仲間とコロナの時代を乗り越えて成長し、いつかまた会いたいという思いを込めた」
 ロゴデザインを担当した岡本柚子(ゆず)さん(17)は「今までは自己表現のために作品に取り組んでいた。初めて社会との関わりを意識するようになった」と振り返った。
 この14人が共同制作に挑戦したのは初めてだった。指導に当たった臨時講師幸野(ゆきの)利奈さん(31)は「デザインにはチーム力も必要。社会に出た時、この経験を生かしてほしい」と願う。
 感染防止のため校外での展覧会はかなわず、6月中旬から校内に展示している。渡辺智久校長(55)は「コロナ禍のマイナス要素をプラスに転換したユニークな作品。校外でも発表の場があれば」と話した。