大分市東部の地域医療は大丈夫か。新型コロナウイルスの集団感染が起きたとみられる国立病院機構大分医療センター(同市横田)から感染が広がっている影響で、センターを含む東部の4病院が外来診療や入院の受け入れを休止することになった。住民からは不安の声が上がっており、市は医師会と連携して必要な医療が受けられる体制づくりを急ぐ。
 センターは22日までに入院患者と退院者、医療スタッフ計12人の感染が確認された。センターから転院した患者の感染が判明した市内の医療機関も▽県立病院(豊饒)▽大分岡病院(西鶴崎)▽坂ノ市病院(坂ノ市中央)▽佐賀関病院(佐賀関)▽大分リハビリテーション病院(志村)―の5カ所に上った。県立病院を除けば東部に集中している。
 大分岡は28日まで、新規と紹介患者の受け入れを中止する。緊急性が高いと判断した救急患者は受け入れる。坂ノ市は4月5日まで新規の受け入れを休止し、訪問診療は検討中。佐賀関も4月5日まで外来と入退院、通所・通院リハビリを取りやめ、人工透析治療は患者の感染防止措置を講じた上で実施する。
 大分医療センター、大分岡、坂ノ市、佐賀関の4病院は慢性疾患などで薬の処方が必要な患者には電話による診療(電話再診)を受け付ける。職員ら約40人が遺伝子検査で陰性だった大分リハビリテーションは23日から通常通り診療する。
 一部休止する東部4病院の周辺には約13万8千人が暮らす。市は地域医療に与える影響を抑えるため、24日にも市連合医師会と具体策を協議。専門的な治療や処置、精密検査などが必要な患者を別の医療機関に紹介するシステムを整える考えだ。
 22日に会見した市保健所保健総務課の後藤礼次郎課長は「少し離れた医療機関への受診を余儀なくされる人もいると思う。緊急事態であり、理解をお願いしたい」と協力を求めた。
 佐藤樹一郎市長は「市連合医師会と協力して医療体制の確保と感染拡大防止、閉鎖中の医療機関の再開に努める」とのコメントを出した。

○一時閉鎖に住民「怖い」「しょうがない」
 大分市東部の医療を担う拠点病院が「一時閉鎖」となり、住民からは不安の声が聞かれた。
 日頃から佐賀関病院を利用している地元の主婦(68)は、同居する90代の両親が急に体調を崩すことがあり「(同病院は)緊急時の頼みの綱。感染はもちろんだけど、病院が使えないのも怖い」。前立腺の持病で通院していた近くの無職男性(74)は「開いていないだけで落ち着かない」と眉をひそめた。
 大分医療センターは基幹病院として、地域のクリニックなどから手術、精密検査が必要な患者を多く受け入れる。同市佐野の会社経営小手川誠一さん(68)は「いざというときのよりどころがないのはリスクが高い」と話す。
 同市丹生の女性会社員(39)は「近くの病院に行けないのは苦しいが、感染拡大を防ぐためにはしょうがない。不要不急の外出を控えるなど、できることをしていきたい」と冷静に受け止めた。