日常の買い物が困難な地域の課題解決を図るプロジェクトの一環で、大分県は津久見市無垢(むく)島と津久見港(同市中央町)を結ぶ長距離ドローン(小型無人機)物流の実証実験に取り組んでいる。県によると、離島と人口集中地区間の海上配送は全国初の試み。遠隔地から配送物の受け取り確認ができるシステムの運用なども試し、より実用的で持続可能な社会システムとしてのドローン活用を目指す。
 委託を受けたciRobotics(大分市)を中心としたプロジェクトチームが2019〜20年度に取り組んでいる。事業費は約3300万円。風が強い海上での飛行性やエネルギー効率がよく、長距離運航に適したシングルローターの機体(長さ1・7メートル、重さ7キロ)を開発・導入した。人口集中地区でのドローン飛行には現在、航空法上の規制があり、緩和後の実用化を目指す。
 19日にマスコミ関係者に公開された実証実験では、島民からの注文が津久見市千怒のそうごう薬局津久見店に入ったと同時に、ドローンが事前に設定した自動飛行プログラムで同港近くの荷物受け取り地点に移動。一般用医薬品やヘルスケア用品など(重さ約3キロ)を積み込んだ後、時速約70キロで海上を飛行し、約13分かけて16キロ先の島に荷物を届けた。
 島内の公園には遠隔から荷物の収納、受け取り確認が可能な「ドローンポート付き宅配ボックス」を設置。ドローンがポートに降ろした荷物を遠隔で操作し、ボックス内に収納した。その後、ICカード認証で本人の受け取りを確認した。
 荷物を受け取った橋本正八区長(72)は「島からは買い物に行くだけで半日仕事。定期的に使えれば便利になる」と実用化を望んだ。
 無垢島の高齢化率は77%(20年2月現在)。島内に店はなく、島民は市が運航する唯一の交通手段の船「カメリアスター」(片道25分)で津久見港に渡り生活用品を調達している。ただ、週1回の運休があったり便数が少ないなど利便性に課題がある上、運営費が年間1千万円を超え財政的な負担も大きい。ドローン宅配を導入すれば高齢者の移動の負担軽減、コスト削減などの効果が期待できる。
 県新産業振興室は「新年度は複数機体の一元管理や他地域への事業展開など取り組みを拡大する。ドローン物流の社会実装に向け、法律の規制緩和に対しても要望していく」と話している。

<メモ>
 大分県は2017年度からドローン宅配の実証実験を開始。17年度は「10キロの重量物の山越え配送」、18年度は「目視外での2点間のドローン定期便運航」を試みた。政府は「未来投資戦略2017」で、20年代には人口密度の高い都市でのドローン飛行を本格化させる目標を掲げている。