肺炎を引き起こす新型コロナウイルスは感染拡大に歯止めがかからない。大分県内ではこれまでにウイルスへの感染例は確認されていないが、患者を受け入れて入院・治療に当たる県内8カ所の感染症指定医療機関は県内での「発生」に備え、警戒を続けている。
 県内で最も多い計12床の専用病床を持つ県立病院(大分市豊饒)。感染症対策を担う山崎透・感染管理室長=感染症専門医・指導医=は「ウイルスの病原性が飛び抜けて強いわけではなく、持病を含む患者側の要因、反応が重症度に影響している」と指摘する。
 敷地内にある専用病棟は隔離され、外部に空気が漏れない陰圧機能、独立した排水設備などを整備。スタッフは医療用マスクや防護衣、顔を覆うフェースシールド、ガウンを着用し、手袋を二重装着するなど「最高度の防護態勢」(井上敏郎院長)で治療に当たる。
 入院患者の状態に応じて解熱剤、酸素吸入、点滴といった対症療法に加え、国の機関などが公表している他の患者の治療経過などを基に治療方針を組み立てるという。
 体力がない高齢者や、糖尿病などで免疫力が落ちていたり、免疫を抑える治療を受けたりしている人は重症化するリスクが高い。患者によっては免疫がウイルスに過剰に反応し、肺などが深刻なダメージを受けるケースもある。
 新型肺炎では初期の症状が軽く状態が落ち着いていても、そのまま治る人もいれば、ぶり返して急激に悪化する「二峰性」のパターンも見られるという。山崎医師は「入院治療には隔離して感染拡大を防ぐのはもちろん、二峰性の有無を見極める意味もある」と語る。
 治療を経て症状が治まった後、一定の時間を空けて2回の遺伝子検査を実施。1回目の検査で陰性と確認された上で、さらに12時間後に改めて検査し、再び陰性になれば退院が可能になる。
 県立病院では感染症対策として防護服の着脱訓練を毎月実施するなど、スタッフの研修を重ねてきた。山崎医師は「病院一丸となって患者のため、感染の拡大を防ぐため最大限、力を尽くしたい」と話した。

 <メモ>

 大分県が4日発表した「県民向けメッセージ」では、新型コロナウイルスへの感染が疑われるのは37・5度以上の発熱、せき、鼻水、喉の痛みなどがあり、発症までの2週間以内に(1)中国湖北省に渡航・居住歴がある(2)「湖北省に渡航・居住歴があり、症状が出ている人」と濃厚接触した―のどちらかに当てはまる人。まずは最寄りの保健所・保健部(24時間対応)に連絡し、必要に応じて県内15病院に設けている「帰国者・接触者外来」の紹介を受ける。外来で検体を採取し、県衛生環境研究センター(大分市)で遺伝子検査を実施。入院治療は県内8カ所の指定医療機関が担う。濃厚接触は同居や長時間の接触を指し、すれ違った程度は含まない。これに当てはまらない場合は従来通り、かかりつけ医や最寄りの医療機関を受診する。