6434人が亡くなった阪神大震災から17日で25年。高齢者や障害のある人の安否確認や避難誘導に手間取り、被災後の生活支援も不十分だった教訓から、災害時に手助けが必要な人を地域全体でサポートする体制づくりが全国で進んでいる。県内でも各市町村が地域住民と連携して対象者の把握や個別の支援計画作成に取り組んでいるが、プライバシー情報の扱いがネックとなるなど課題も多い。

 15日、豊後高田市の真玉海岸近くに広がる臼野地区。地元8自治会の会長ら約30人が公民館に集まり、2月9日に実施する避難訓練の打ち合わせをした。
 訓練は4年ぶり。今回、初めて取り入れるメニューの一つが要支援者のサポートだ。臼野浜小林自治会(173人)では津波を想定。足腰の弱い高齢者らを一次避難所の集会所からリヤカーに乗せ、約200メートル離れた高台まで運ぶ。
 同自治会の要支援者は31人。米光智勝会長(74)は「訓練で実践面の課題を確かめたい」と話す。
 内閣府によると、阪神は犠牲者の44%を65歳以上の高齢者が占めた。2011年の東日本大震災では約6割に上り、避難支援などに当たった民生委員や消防団員らも犠牲になった。
 このため政府は14年に災害対策基本法を改正。一人で逃げるのが難しい要介護者や障害者の存在を地域全体で把握し、円滑な避難につなげるため、市町村が対象者を把握して名簿に登録するよう義務付けた。
 県内は全18市町村が名簿の作成を終えた。支援が必要な人は県人口の4・9%に当たる約5万7千人。このうち本人の同意の得られた約2万8千人の名簿を地域の自主防災組織や民生委員に提供し、個別計画の策定を呼び掛けている。
 しかし、これまでに個別計画の整備が済んだのは姫島村のみ。自主防災組織からは「住民に持病など機微な情報を聞きにくい」との声があり、自治体側も強制できないため進まないという。豊後高田市も作業はこれから。米光会長は「対象者とどう接したらいいものか」と思案する。
 補助金を出して促進を目指す自治体もある。大分市は17年度、要支援者の連絡網作成などに取り組んだ自主防災組織に最大3万円を支給する制度を導入。本年度は全687自治区の約3割が活用した。「まずは地域と要支援者がつながるきっかけをつくりたい」と福祉保健課。
 災害法制を専門とする関西大社会安全学部(大阪府高槻市)の山崎栄一教授(48)は「プライバシー情報にこだわるよりも、その人にとって具体的にどんな支援が必要なのかを中心に計画を作ることが大事だ」と指摘した。
  
 要支援者を見守る体制づくりには自治会のリーダーや民生委員だけでなく、災害に対応する知識や技能を備えた防災士も大きな役割を担う。
 防災士は阪神大震災を機に創設された資格。研修、試験を経てNPO法人・日本防災士機構(東京)が認証しており、県内は1万647人(昨年末現在)が登録している。
 大分市滝尾地域では2011年に防災士協議会が発足。17、18年に要支援者サポート研修会を開き、個人情報の扱いなどについて理解を深めた。高齢化率が高い長谷地区をモデルに対象者17人の避難マニュアル作成を進めており、長尾博行会長(63)は「助け合いの大切さを訴えることで要支援者も協力してくれている」と語る。
 NPO法人・県防災活動支援センター(大分市)の川村正人主任研究員(66)は「資格取得後も研修などでスキルアップを重ね、地域の課題解決をリードしてほしい」と期待した。