作家の赤神(あかがみ)諒(りょう)さん(48)=東京都=が、岡藩をモデルにした時代小説「はぐれ鴉(がらす)」の連載を月刊文芸誌「小説すばる」(集英社)で始めた。自身初のミステリーで4月号(17日発売)から9回続きとなる。地元の竹田市が現地取材などで全面的にバックアップ。題字は竹田高の書道部員が毎回1人ずつ担当し、挿絵は同市直入町出身の画家・高松義昭さん(65)=大分市在住=が描いている。
 血なまぐさい事件で幕を開ける小説は、岡藩をイメージした架空の「竹田藩」を舞台に、史実を織り交ぜながら展開する。岡城は「竹田城」として描かれ、竹田の自然や隠しキリシタンの遺構、炭酸泉、特産のカボスやサフランなども登場するという。
 竹田市の期待は大きい。赤神さんにキリシタン洞窟礼拝堂などを案内した竹田キリシタン研究所・資料館(同市竹田町)の後藤篤美館長(59)は「竹田に残る隠しキリシタン文化を広く知ってもらえる」。首藤勝次市長は「歴史や文化がどう描かれるのか楽しみ。観光振興にもつながり、本当にありがたい」と言う。
 同誌の稲垣ゆかり副編集長によると、すばるで題字を高校書道部が担当するのは初の試み。連載は当初8回の予定だったが「部員は9人。1人だけ外すのはかわいそう」と、全員が書ける9回にした。題字を見るのも毎回の楽しみになりそう。
 赤神さんは「小説の舞台を訪ねる聖地巡りや土産物の開発にもつながれば。参加型の小説として町おこしに貢献したい」と話している。

【プロフィル】2018年、豊後の戦国大名・大友氏を題材にした「大友二階崩れ」(日経新聞出版社)でデビュー。大友氏のサーガ(歴史物語)を定期的に刊行している。4月からは月1回、大分合同新聞にエッセーを寄稿する。上智大法学部教授。