社説[オスプレイ自粛要請]こんな弱腰でどうする

 基地の提供であれ運用であれその前提は、地域住民の生活や安全を脅かすものであってはならない、ということである。 それが安保条約・地位協定を運用する際の根本原則だということを、この際、あらためて確認したい。 普天間飛行場所属の垂直離着陸機オスプレイは、事故の深刻度が4段階の中で最も重い「クラスA」の事故を1年足らずの間に2度も起こしている。 政府はオスプレイの沖縄配備にあたって繰り返し「安全性」を強調してきたが、相次ぐ重大事故発生で安全神話は崩れ去ったといっていい。事故原因もはっきりしないのに米軍は沖縄でのオスプレイの飛行を継続し、北海道では10日からオスプレイを投入した日米共同訓練が予定されている。 飛行訓練が予定されている全国各地で、住民の不安が高まっているのである。  基地提供の根本原則を踏まえて考えれば、政府は米軍に対し「飛行自粛」というあいまいな要請ではなく、事故原因の早期究明と安全性が確認されるまでの「飛行中止」を毅然(きぜん)と申し入れるべきだ。 「飛行自粛」の解釈をめぐっては8日、小野寺五典防衛相と菅義偉官房長官の間で食い違いが表面化し、9日午前の記者会見で菅氏が自らの発言を訂正するというお粗末な事態も表面化した。 菅氏は当初、「運用上必要なものを除いて…飛行を自粛するよう申し入れた」と説明していた。これでは何のしばりにもならない。■    ■ 自粛とは「自分で自分の行いをつつしむこと」。政府はなぜ、この言葉にこだわるのか。背景にあるのは、「基地を提供している以上、機種の変更や基地の運用には口出しできない」という考えが防衛省、外務省の中にしみついていることである。 この考えにしばられている限り、冒頭に掲げた根本原則は軽視されざるをえない。沖縄の人びとは、過去、幾度となく米軍優先の対応に接し、悔しい思いをしてきた。 仮に機体に異常が見られないとしても、それをもって安全だとは言い切れない。 オスプレイを運用する沖縄の海兵隊部隊は特殊作戦にも従事することになっている。そのために夜間の空中給油や物資つり下げ、パラシュート降下、低空飛行などの訓練を頻繁に実施する。 危険度の高い訓練を恒常的に行っているのである。問題はそれだけではない。■    ■ オスプレイは固定翼と回転翼の機能を兼ね備えた垂直離着陸機で、操縦士には普通のヘリとは異なる技術が要求される。機種の性格上、気流の変化にも影響されやすい。 沖縄での訓練には、こうしたこと以外にも、重大な問題が横たわっている。演習場が狭すぎること、演習場と民間住宅が接近しすぎていることだ。 狭い沖縄で危険な訓練を続ければ、いつか取り返しのつかない事故が起きる−と、多くの県民が感じ恐れている。 この根本問題に目をつぶるようでは政権失格だ。

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