殺される犬・猫を減らすために…沖縄県が譲渡の拠点 収容延ばし「ワースト常連」返上へ

殺される犬・猫を減らすために…沖縄県が譲渡の拠点 収容延ばし「ワースト常連」返上へ

 沖縄県が、南城市大里にある旧県衛生環境研究所のハブ研究室跡地を犬や猫の譲渡活動拠点施設として整備する方針を固めたことが、11日までに分かった。県動物愛護管理センターの業務を一部引き受ける形で、犬や猫の譲渡手続きを担う。譲渡の可能性がある犬や猫の収容期間を延ばし、年間約1400頭(2017年度)という殺処分数の減少を目指す。(社会部・松田麗香)

 同研究室は3棟からなり、野外の実験場を含めると2895平方メートル。県は本年度中に改修工事を終え、仮オープンの意向。愛護センターに出入りする民間の動物愛護団体などから意見を集め、収容可能な頭数の算定や拠点施設に必要な機能を検討しながら、段階的に運用を進める。

 愛護センターの犬猫収容期間は現在、土日祝日を除く最低7日間。7日以内に引き取り手が現れない場合は原則殺処分となる。健康状態などを考慮し譲渡の可能性があると判断した場合や、愛護団体から引き取りの要望があった際は、規定より期間を延ばすこともある。

 県内の犬猫の殺処分数は、13年度の4824頭から、17年度1421頭(速報値)と直近5年間で減少してきた。しかし全国的には依然ワースト上位の常連で、16年度は全国13番目に殺処分数が多かった。

 県は殺処分ゼロに向け、本年度改定する県動物愛護管理推進計画で、新たな数値目標を設定する方針。担当者は「譲渡数が増えても、そもそも収容される数自体が減らなければ殺処分される犬や猫はいなくならない」と強調。「飼育放棄や野良猫・野良犬をなくすことが最重要。新拠点を運用しながら、県民への啓発を強化していきたい」と話した。

「収容される数を減らさねば…」

 県が捨て猫や犬を譲渡する活動拠点を整備する方針を固めたことに対し、動物愛護に取り組む関係者からは「人間とペットの共生を目指す一歩だ」と期待の声が聞かれた。一方、飼い主の意識向上など「収容される数を減らさなければ根本解決にはならない」との指摘もあった。

 民間の譲渡会を開催している「ワンズパートナーの会」の比嘉秀夫理事長(61)は「県も殺処分ゼロへ前向きになり、うれしい」と声を弾ませた。これまで保護した犬や猫を譲渡するときは、ワクチン摂取や避妊手術などの医療費が動物愛護団体にとっては大きな経済負担だったとし、「県には医療費の負担もお願いできないか」と期待した。

 犬猫殺処分ゼロを目指す那覇市議会議員連盟会長で愛玩動物飼養管理士の下地敏男さん(68)は「県の方針は大歓迎だ」と評価。「捨て猫や犬の交通事故が減り、地域でのトラブルが減ることにもつながってほしい」と話した。

 猫を中心に譲渡会を開く「琉球わんにゃんゆいまーる」の畑井モト子代表(38)は「譲渡の機会が増える」と喜ぶ一方で、「収容される数を減らさないと、根本的な解決にはならない」と指摘する。飼い主のモラル向上に行政が旗を振って普及啓発に力を入れてほしいと注文した。

 人と犬猫の共存に向けてさらなる動物愛護策の展開にも期待を寄せる。「保健所が、自治体から犬猫を引き取らないようにしたことで野良猫が地域にあふれている。町の苦情にも耳を傾けて」と訴えた。

 「NPO法人どうぶつたちの病院沖縄」の長嶺隆理事長(55)も「不適切な飼育が続く限り、不幸な犬猫は減らない」と指摘。捨てられた犬や猫によってヤンバルクイナなど野生動物が捕食される被害があるとし「新たな飼い主を見つける施設は良い一歩だが、シビアな現状にも目を向け、人間とペットの共生を考えてほしい」と呼び掛けた。


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