15日に4例目が確認されるなど県内で感染が広がる豚コレラ(CSF)。県職員や自衛隊員だけでなく、県の要請を受けた本島中部の自治体職員も、連日24時間態勢で豚の殺処分や豚舎周辺の消毒作業に当たっている。県によると、動員は日に延べ300人程度。殺処分対象の豚は9千頭を超える。職員は防護服やマスク、フード、手袋を二重に着けて汗だくで過酷な作業に耐えている。

 養豚場の殺処分現場では、獣医師がいるスペースに豚を1頭ずつ出し、大きなペンチのような器具で電気ショックを与える。豚は「ギャーギャー」と悲鳴のような鳴き声を上げ、周囲には電気ショックで焼けた臭いが漂う。

 複数の豚をトラックの荷台に移してシートをかぶせ、内部に二酸化炭素を充満させるケースもある。

 ある県職員男性は、防護服の下の服にも豚の臭いが付いたといい「豚が死ぬ光景は言葉で表現できないほど悲しい。作業後は、二度と沖縄の豚に被害が出ないでほしいと強く願った」と振り返る。

 県職員厚生課によると、15日までに産業医による健康相談を望んだり、体調不良を訴えたりする職員はいないが、引き続き、現場作業を担当する職員をケアする態勢を取るという。

 中部市町村の30代の男性職員は、ベニア板で壁をつくって豚を通路に閉じ込めた。豚は思った以上に大きくて、2人掛かりでも2、3回吹っ飛ばされた。

 豚の鳴き声を聞いて「本当にやるんだ」と腰が引けた。作業に徹するしかなかったが「二度とやりたくない」と話す。豚舎で作業を終えた職員はバスの中でぐったりし、誰一人しゃべらなかったという。

 別の自治体の男性職員(25)は、11日午前2時から翌12日正午まで豚の追い込みを担当した。農林高校出身で豚の解体実習をした経験があるが、「今回の現場は学校と違って慰霊碑もないし、手を合わせる時間もない。なるべく情を持たないように心掛けていた」と打ち明ける。

 防護服や手袋などの装備はゴーグルを除いて二重。いったんトイレに行けば全て廃棄して着け直さなければならないため、飲まず食わずで作業を続けた。

 CSFの発生後、作業現場に2回派遣された男性は15日、県から3回目の派遣要請を受けた。夕方までに関連の会議を終え、午後9時からの派遣に備えた。「担当課の自分が行かなければ他の部署に協力をお願いできない」と、自らに言い聞かせるように語った。