沖縄県の嘉手納町議会(徳里直樹議長)は昨年12月、道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕された町議の仲村一氏に対し、計3回の議員辞職勧告決議案を全会一致で可決した。決議に法的拘束力はないが、議会で3度の議員辞職勧告決議が出されるのは異例で嘉手納町議会では初めてとみられる。仲村氏は議員を続投する意思を示しながら12月、3月の両定例会の全日程を欠席。議場での町民への説明や謝罪はない。他の町議からの反発は大きく今後も議会が決議案を提出する可能性もあり、先行きは不透明だ。(中部報道部・大城志織)

 昨年12月8日、嘉手納署は嘉手納の町道で酒気を帯びた状態で普通乗用車を運転した疑いで仲村氏を現行犯逮捕。呼気からは基準値の約2倍のアルコールが検知された。

 町議会は同10日開会の12月定例会で、飲酒運転根絶を図ることを全議員が誓約する決議案を全会一致で可決した。同17日の最終本会議で地方自治法に基づき調査特別委員会を設置し、閉会中に「酒気帯び運転容疑による逮捕事案」について調査。同27日に臨時会を開き、1度目の議員辞職勧告決議案を全会一致で可決した。町議会は2月の議会だよりで1ページを割いて酒気帯び運転事案に関する「お詫び」と辞職勧告決議の内容や議会の経緯を載せた。

 その後2月19日、3月3日にもそれぞれ辞職勧告決議案を可決。3度目の決議文では嘉手納町の全町議が当選後に署名している町議会議員政治倫理条例に触れ「2度の辞職勧告決議を無視し、社会的、道義的責任を取らずに居直り続けることは議会の品位を傷つけ、町民への信頼を一層失墜させる」と批判した。

本会議を控室で

 町議会によると仲村氏は12月定例会中にあった全員協議会で全議員に謝罪した。3月定例会で仲村氏が全員協議会に出席したが他の議員が反発して退席の意思を示し、一度、全協が流れたという。これを受けて仲村氏は議会事務局に3月定例会も全日程の欠席届を提出した。開会中の3月定例会では、本会議を控室で傍聴している。

 本紙取材に30万円の罰金刑が下されたと説明した上で「公的な立場であるのに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。自分の行動を改めて、町民の信頼回復に努めていきたい」と話した。支持者や後援会、家族と相談した結果、改めて議員を続けていくとの意思を示した。逮捕後から酒を一切断っているという。

 一方、他の町議からは仲村氏の議員としての資質を問題視する声もあり、複数の議員が今後も議会で辞職勧告決議が出される可能性を示唆した。徳里議長は「町民から選ばれた議員による全会一致の決議は重く受け止めなければいけない」と語った。

「町民へ説明を」

 仲村氏が現行犯逮捕された同時期、県内で酒気帯び運転の事案が他の自治体の議員や役所職員でも相次いだ。酒気帯び運転の疑いで現行犯逮捕された中城村の村議は議員辞職し、豊見城市は酒気帯び運転で検挙された市総務企画部長を停職6カ月の懲戒処分にした。

 地方自治に詳しい琉球大の島袋純教授(政治学)は「主権者の代表として主権者が選出する議員は市民の人権保障と社会的秩序をつくるために処罰する条例制定の権限が与えられており、議会は立法化の役割がある。その議員がそもそも自ら法律を違反しないのが前提で、違反する者が議場にいてはならない。町議は条例の制定で重要な役割を持っていると自覚するべきだ」と強調した。

 また仲村氏が議場で町民への説明がないことに「公共の空間である議会でまずはきちんと住民に説明責任を果たすのが必要だ」と指摘した。