【東京】元共同通信社編集局長でジャーナリストの河原仁志さん(61)がこのほど、「沖縄をめぐる言葉たち 名言・妄言で読み解く戦後日本史」(毎日新聞出版、税別2千円)を出版した。沖縄戦、米軍統治時代、日本復帰、現在までに発せられた62の言葉を取り上げ、その背景や意味を探りながら時代を読み解く。河原さんは「戦後75年。言葉を通して沖縄の歴史を体感し、日本という国の在り方を考えるきっかけになれば」と話している。

 本書は「沖縄戦の残影」「米統治の闇」「本土復帰の騒乱」「昭和の葛藤」「平成の胎動」「普天間の虚実」の6章に区分し、取材や史料などから関連性のある言葉をまとめている。初代公選県知事となった屋良朝苗さん、元プロボクサーの具志堅用高さん、元アイドル歌手の南沙織さん、翁長雄志前知事をはじめ、マッカーサーGHQ最高司令官や作家の百田尚樹さんらの多彩な言葉を紹介。

 また、「沖縄県民斯ク戦ヘリ…」との文言で有名な大田実海軍少将の電報、2018年6月23日の沖縄全戦没者追悼式で相良倫子さんが朗読した平和の詩も掲載している。

 沖縄タイムス東京支社を訪れた河原さんは、共同通信社編集局長だった2015年4月、翁長雄志前知事へのインタビューをきっかけに「苦しい歴史を生きた沖縄の人たちの言葉の経緯をたどり、沖縄の戦後史を通観してみたいと思った」と説明。退職後、病気の治療と並行しながら執筆した。

 翁長前知事の言葉については「戦後蓄積してきた沖縄の葛藤があった」。相良さんの詩には「歴史や言葉の伝承というものが積み上げられたものだった」と紹介。「沖縄の人々から発せられる言葉は、時間軸が長く重い。若い人たちにも読んでほしい」とPRした。