1980年代に「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という言葉が流行した。ビートたけしさん、きよしさんの漫才コンビ「ツービート」がコントで披露したネタ。広島県の政治家たちを見て、久しぶりにこの言葉を思い出した

▼逮捕された河井克行、案里の両容疑者から現金を受け取った政治家の「告白ドミノ」が広がっている。市議が涙ながらに謝罪したり、市長が丸刈りにして辞職を表明したり

▼秘密の暴露が相次ぐタイミングなら、一件ごとの罪がクローズアップされづらいという算段に映る。自白することで、情状酌量の期待もあるだろうか

▼人は権威に弱い。克行容疑者がカネを渡す際の殺し文句は「安倍総理からです」。沖縄でも虎の威を借りていた。辺野古の新基地建設を推進するため来県した、2013年。会食した関係者によると、菅義偉官房長官の密使を自任し「僕はスガちゃんと呼べる仲でね」と吹聴していた

▼首相や官房長官という権力をかさに着れば、後ろ暗い秘密も表沙汰にならないと踏んだか。首相官邸の力が強すぎる「安倍1強」が生んだ、あだ花とも言える

▼その河井夫妻に、319万円ずつボーナスが支給された。驚いたのは、これだけの疑惑の当事者がまだ国会議員だったこと。推定無罪の原則は理解するが、辞職して血税を返納し、公判に臨んではいかがか。(吉田央)