[読書]仲村清司著「消えゆく沖縄−移住生活20年の光と影」 故郷愛に満ちた「遺言」

[読書]仲村清司著「消えゆく沖縄−移住生活20年の光と影」 故郷愛に満ちた「遺言」

 沖縄県は100社以上も出版社が存在することや、売り上げランキングは常に沖縄関連書籍が半数を占めるなど、他府県とは出版事情が全く違う。だから県内の人気作家も沖縄を書く人が多くを占める。そのうちの1人が仲村清司氏。沖縄に移住してからの4年間を描いた『沖縄移住計画』(2000年)に始まり、沖縄の歴史や文化、沖縄問題まで、これまで実に20冊以上の本を出版してきた沖縄本の第一人者である。 本書は、移住して20年経(た)った今、すっかり変わり果てた沖縄に残す「遺言」という。相当な覚悟で、基地問題、信仰、文化、風土に至るまで綴(つづ)られた。 著者は沖縄2世として大阪で幼少期から育ったのだが、両親が沖縄出身というだけで差別を経験し、「土人」とあだ名を付けられたこともあるという。その後、38歳で沖縄に移住したものの、ウチナーンチュにはなりきれない立ち位置に翻弄(ほんろう)され、苦悩してきた。本書からはそんな心情が切実と伝わってくる。 全6章で構成されるが、その中の第3章では移住以来、同志として懇意にしてきたバーテンダー、ごうさん(故人)のことが語られる。彼は沖縄における不条理な問題と直接向き合うために、15年前に沖縄へ移住したのである。ガンで亡くなる死の直前まで、沖縄に寄り添い、高江や辺野古を訪れ続けた彼の思い。ごうさんは何のために亡くなってしまったのか。二人の最後の晩餐(ばんさん)で語られるごうさんの言葉、そして肉親以上の存在として、最後まで彼を思う著者の情愛が心痛くて涙なしに読めなかった。 著者は沖縄2世であるがゆえに、本土でも沖縄でも数々の差別と対峙(たいじ)してきた。それでも、そのことを恨むどころか、沖縄人の血が流れていることの誇りすら感じて生きている。仲村清司にとっての本当の故郷はずっと沖縄であるに違いない。この先も沖縄を愛し続けていくのであろう。ヤマトンチュでもあり、ウチナーンチュでもある、特異な立場の著者が憂慮する沖縄への遺言は、この20年の沖縄の変遷を知る1冊である。(森本浩平・ジュンク堂書店那覇店店長)

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