「ハクソー・リッジ」の舞台、沖縄・前田高地に脚光 記念碑建立へ募金も

「ハクソー・リッジ」の舞台、沖縄・前田高地に脚光 記念碑建立へ募金も

 沖縄戦の激戦地となった浦添市の前田高地。ここを舞台とした映画「ハクソー・リッジ」が公開されて以降、訪れる人が急増している。戦跡ツアーが組まれ、主人公の米軍衛生兵の記念碑を建てる計画も持ち上がる。一方、甚大な住民被害については描かれておらず、生き残った体験者は「映画を機に尊い命が奪われたことを知ってほしい」と望んでいる。(社会部・伊藤和行、浦添西原担当・伊禮由紀子) 前田高地は、同市前田の浦添城跡の一角にある。日本軍は、約4キロ離れた首里の軍司令部を守る防衛ラインと位置付け、断崖絶壁を登る米軍と戦った。米軍が「ありったけの地獄を一つにまとめた」と表現するほどの激戦地となった。ハクソー・リッジとは、のこぎりで切ったような断崖を意味する。 「毎日のガイドで声ががらがらです」。城跡周辺の案内をするNPOうらおそい歴史ガイド友の会の玉那覇清美さん(62)はうれしい悲鳴をあげる。6月24日の日本公開以降、ガイド利用者は7〜8倍に増え、1日100人を超える日も。観光客も多く、米軍関係者ら外国人もいるという。 同会は市観光協会と7〜8月の毎週土日、前田高地の戦跡を案内するツアーを始めた。玉那覇さんは「親子で映画を見て前田高地を訪れ、沖縄戦を語り合ってほしい」と呼び掛ける。 映画では、信仰心から武器を持たず衛生兵として従軍したデズモンド・ドスさん(2006年死去)が激戦の中で負傷兵を助ける姿が描かれる。日本兵も手当てしたとされるドスさんの記念碑を建てようと、西原町の元牧師福井輝さん(67)らが募金活動を始めた。福井さんは「敵味方関係なく命を大切にする心は沖縄で受け入れられるはず」と話す。 沖縄戦では浦添村(当時)の人口9217人のうち44・6%が亡くなった。が、映画には住民被害は描かれていない。映画を鑑賞した体験者の石川仁助さん(84)=市前田=の思いは複雑だ。「銃撃場面で当時の記憶がよぎった。映画には映らない民間人、老若男女も関係なく尊い命が奪われたことを知ってほしい。再びあんな血なまぐさい戦いがあってはならない」と語った。

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