『機動戦士ガンダム』カルチャーの発展は、創意工夫と自由な発想で世界観を広げたモデラーたちの貢献も大きい。ここでは、誰もが知る“名シーン”をジオラマ再現している猫マシンガン@ガンプラお惣菜部(@necome_titan)氏を紹介。笑いに昇華させるアイデアの源泉や、面白系ガンプラを制作する理由を聞いた。

■「アナタの作品は分かりやすい」展示会でおばあちゃんに言われた一言が励みに

――プラモデルの魅力に目覚めた原体験を教えてください。

【猫マシンガン】まだプラモデルを作っていない頃、ホビーショーで東海組さんの作品『DOLOS』(ア・バオア・クーの戦いで活躍した宇宙空母ドロスの格納庫を再現)を見て衝撃を受けました。現場で東海組さんに色々と質問するうちに、「自分でも作ってみたい」という気持ちが高まり、それがキッカケでガンプラの道に進みました。

――ガンプラの中ではどんなキットが好きですか?

【猫マシンガン】魅力を感じるのはやっぱり旧キットのモビルアーマー(以下、MA)ですね。見ていてイジりたくなるフォルム、そして何より美味しそう(笑)!押入れにたくさん入れてますけど、パントリー(※食品類や食器を貯蔵する小部屋)って呼んでます。

――MA好きは大勢いますが、“食”に見立てる人は珍しいと思います(笑)。

【猫マシンガン】1年戦争時のジオン水泳部は、どこか生物的な風合いを持っていますよね。そんなMAやモビルスーツ(以下、MS)を“料理”に見立てて作るのが楽しくてしょうがありません。なので、最初はかっこよく作ろうとしていても、急カーブして“おもしろ路線”に着地することも多くて。それで、「だったら最初から楽しく作ればいいじゃん!」という考えになり今に至ります(苦笑)。

――猫マシンガンさんの作品は一発ギャグと言いますか、シンプルで分かりやすいですよね。

【猫マシンガン】プラモの展示会に来ていたおばあちゃんが私の作品を見て、「あなたの作品は分かりやすい良い」と言ってくれて、その言葉が今も励みになっています。それ以来、どんな人でも楽しめる分かりやすい作品を作ろうと思いました。

――猫マシンガンさんの代表作といえば「名シーン」再現シリーズがあります。

【猫マシンガン】最初はちょっと悪乗り系のジオラマを作っていましたが、一度原点に戻って「本気で名シーンのジオラマを作ってみよう!」と思い作り始めたのですが…。

――でも…?

【猫マシンガン】やっぱり悪乗り感覚が抜けず(苦笑)。作り始めて構図やMSの動きをイメージしているうちに、「も〜、こんなんなっちゃってウケる」とか1人で盛り上がっちゃって(笑)。それで、この際だから振り切っちゃって面白系を制作するようになりました。

■ジオラマを見た人に、MSたちの“心の声”を聞いてほしい

――今回紹介しているのが、アムロが乗るガンダムがザクIIの動力パイプを引きちぎろうとするジオラマです。作品名を教えてください。

【猫マシンガン】猫マ式ジオラマ『このザク、伸びるぞ!』です(笑)。キットはHGUC 1/144 RX-78-2 ガンダムとHG 1/144 ザクII C-6/R6型を使用しました。

――伸びまくった排気ダクトを見てちょっと引いちゃってる感じのガンダムがユニークです。それと、ちょっと飛び出たザクIIのモノアイもポイント高いですね。

【猫マシンガン】排気ダクトを引きちぎれず、ガンダムの「キモッ!」という気持ちとザクIIの「嘘でしょ…!?」というMSの“心の声”を聞いてもらえるよう制作しました。

――このアイデアが浮かんだ瞬間は?

【猫マシンガン】仕事の忙しい時にフッと頭に浮かんだので、その日の夜から作業を始めました。苦労した点は、排気ダクトが引っ張られつつのけ反るザクIIの体勢と両者の表情ですね。仕事場でこっそりポージングしてみたりして、ポージングに説得力が出るようにしました。

――ガンダムファンなら誰もが知る名シーンのアレンジです。反響はいかがでしたか?

【猫マシンガン】叱られることも覚悟していましたが、反響は凄く良かったです。展示会でも「この作品を見に来ました!」と何人かに言ってもらえて、見に来た人たちにも笑ってもらえたので作って良かったと思います。

――もう1点の作品はグフ対ガンダムの一騎討ちシーンです。作品名は?

【猫マシンガン】猫マ式ジオラマ『戦いに敗れるとは、こういうことだ!』です。HGUC 1/144 RX-78-2 ガンダムとHGUC 1/144 グフを使っています。この作品は、近所で行われたスーパーカーショーを見に行き、カウンタックの爆音を聞いたときにフッと思いつきました。

――ランバ・ラルらしい気持ちの良いヤラレっぷりですね。

【猫マシンガン】制作面では切られた上半身を浮かせるためにいろいろと悩みました。最終的に後ろに壁を設け、そこに上半身を接続する形にしました。結果的にマンガ的表現が使え、ジオラマとしても良いものになりました。

――こちらの反響は?

【猫マシンガン】反響と言うと、「ラルさんは?」がとても多かったです。「ラルさんはコクピットの前面に乗っていて背中とお尻のヤケドで済みました」と答えていました(苦笑)。ただ、ランバ・ラルファンの方が本当に多くて、ちょっと申し訳ない気持ちになりましたね。

――どちらのジオラマも、こちらがバカ負けして思わず笑ってしまう作品です。迷シーンを笑いに昇華させるプレッシャーはありましたか?

【猫マシンガン】プレッシャーは特に無いです。無理に面白くするのではなく、自分が楽しく作れればそれで良いと思っています。それに、私が所属する模型クラブの隊長さんが『自分の好きなように作れ』と普段から言ってくれていて、そんな風に“放し飼い”にしてもらっているので色々と助かっています。

――今後も面白系ジラオマを作り続けますか?

【猫マシンガン】ガンプラのネタ系作品を作った時に応援してくれた恩人(私の背中を押してくれた人)との約束があるので、それを忘れない為にもまだまだ作っていきます!

(C)創通・サンライズ