近年、テレビ番組やSNS、YouTubeなどで美容整形を公表するタレントやインフルエンサーたちが増加している。共感する女性も多く整形は”隠すもの“ではなくなりつつあるが、最もタブー視されていたであろうアイドルの間でも整形が公表されている。彼女たちはなぜ整形に踏み切ったのか、そして、整形をした先にあった人生観とは?

■笑ってパフォーマンスできない自分はアイドル失格

 アイドル活動中に整形に臨んだのは、大阪で地下アイドルとして活動する尾上七海。昨年、『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)の密着取材で話題となった『整形シンデレラオーディション』に出場、ファイナリストの特典である整形手術を受けてグランプリを受賞した。

 顔のすべてにコンプレックスを抱いていたという整形前の活動では、ファンからの「ななみんは、笑ってないほうがいい」「鼻と口が大きいね」といった悪気の無い一言に傷つくことも。そんな中、整形への葛藤は「最後は『笑ってパフォーマンスできないなんて、アイドルとして失格だ』という思いが、背中を押してくれました」(尾上七海)と語る。

 そもそも容姿にコンプレックスがありながら、なぜ、人前に立つアイドルを?という疑問もあるだろう。そこには彼女が幼いころに経験したことによる人生観あるようだ。
「命に関わる大病を経験したことで『人はいつ死んでしまうかわからない。だからこそ、できるときにやりたいことをやるべき』とも思うようになったんです」(尾上七海)

 実は小学生のとき急性リンパ性白血病だったという彼女。闘病中、病院の看護師さん達による劇やショーに元気づけられたことで「将来はモデルとかアイドルとか、人前に立って見た人を元気にできる仕事に就きたい」と思うようになり晴れてアイドルに。推しメン投票券ゼロが当たり前だった整形前と変わり、整形をした今は人気投票による選抜メンバーにも選ばれCDデビューも果たしている。

 「すべての手術を終えたときは、なにより『メイクがラクになったな〜』と(笑)。それまで最低でも2時間かけていたメイクが20〜30分あれば終わるようになったし、鏡を見ながら顔のことで悩む時間もなくなったぶん、(歌やダンスの)練習動画を見て復習したり、やりたいことのできる時間もすごく増えました」(尾上七海)

 まだ整形をしたい?の答えは「もう、どこも整形するつもりはないんです」。施術の効果が薄れて元に戻りつつある輪郭も「戻ってもいい」と思えるようになったそうだ。
 「過去があっての今の私ですし。整形についてはいろんな意見がありますが、『以前の自分を好きになれたこと』が私にとって一番大きな収穫だったかもしれません」(尾上七海)

■お金貯めたり、死ぬほど辛いダウンタイムを乗り越えたのは自分の努力

 目元や鼻、あごなど総額700万円かけて整形をしたのはコスプレアイドルの明治(現・高嶋めいみ)。数年前からメディアにも多数出演し、その度に変貌ぶりが話題となっている。学生時代、勉強ばかりしていたという彼女は大学進学を期にメイド喫茶でアルバイトをスタート。外見が気になるようになったと言う。

 「大学4年生のときに、二重の埋没をしました。もともと、腫れぼったい一重だったんですけど、一重を直せば可愛くなると思っていたんです」(明治)

 就職してからは、日中はOLをこなし、休日はコスプレイヤーに。ところが理想通りにはならず、次なる整形を決意した。
 「二重にしたのに、なんでだろうって。鏡を見ながら研究したら、私は口元がゴリラみたいに出てるからだって気がついて。ネットで調べているうちに、『これはもう、ガッツリ整形したほうがいいかもしれない』って」(明治)

 そして、思い切って会社を辞めて顎の骨を切る大掛かりな手術を韓国で決行。ダウンタイム(術後の腫れや赤みなどが引くまでの期間)は半年も続き、特に手術直後の1週間は食事もままならならず生き地獄状態に。そんな壮絶な整形を乗り越えた彼女には批判が届くこともあるそうだが…。

 「今は『これだけ頑張ったんだから、ヘンなわけがない!』って強気でいられるんです。『頑張ったのは医者だろ』とか言われたりもしたけど(笑)、それまでにお金貯めたり、死ぬほど辛いダウンタイムを乗り越えたのは自分の努力なので」(明治)

■「顔は生まれ持ったものだから仕方がない」と思うのは無理

 そして『テラスハウス』(フジテレビ系)の初期メンバーとして出演し、番組内で整形を告白したのは、アイドルグループ・バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIのメンバーであるちゃんもも◎。番組はまだまだ整形手術に抵抗感の残る2012年に放送され、批判も多く届いたと言う。だからこそ、今は整形がオープンになっている実感は強い。

 「今は受け入れてくれる方が増えてきたのを感じています。『かわいくなれるならいいじゃん』とか、『自分が幸せになれるならいいんじゃない』って言ってくれる方が多いから言いやすいですよね。私は整形してからアイドルになったんですけど、それでもちゃんとアイドルできてるから、意外と大丈夫なんだなと思ってくれた方もいるかもしれないです(笑)」(ちゃんもも◎)

 それでもまだまだ世の“美人”への価値観に疑問を抱くこともしばしばあると言う。
 「世の中ってやっぱり、絶対的に顔で判断される瞬間がいっぱいあると思うんです。例えば、テレビを観たら女芸人さんがモデルさんと容姿で比較されて、おじさんの司会者にいじられてるとか…そういう構図が完成しちゃってる」「だから美人であるだけでどれほど幸せかって思うし、『顔は生まれ持ったものだから仕方がない』と思うのは無理ですね」(ちゃんもも◎)

 そして「生きる手段だった」整形をしたことで感じる“心からの幸せ”についてはこう語った。
 「一生に一度でいいから、自分の顔を好きって思ったり、人と同じくらいかわいいって思いたい。人から思われることはどうでもよくて、自分がそう思いたいんです。私の努力で最大限かわいくなれば、『自分の好きな顔だからいい』って初めて心から幸せを感じると思います」(ちゃんもも◎)

 様々なコンプレックスを抱え、整形手術を公表してからもアイドルとして活動を続ける彼女たち。人前に出て“伝える”職業だからこそ、彼女たちにしか見せられないアイドルとしての姿があるのだろう。
 「女の子が自分をかわいいと思えるための発信を、自分なりのやり方でアプローチしていけたら。そして一番は、同じように悩んでいる子たちの気持ちに親身になって生きていきたいと思っています」(ちゃんもも◎)